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なんでも風呂敷大作戦と預金!?
【仙台市青葉区/個人
     ◆参加人数:1名 ◆ 活動期間:2000年1月~現在

  最近、テレビで地球温暖化問題にて世界で影響が出ているのを見るたびに「自分も何かしなければ!!」と熱い思いになりました。とりあえず自分なりにこだわりを持とうと思い、出来る限りレジ袋やふくろをもらわなくするために風呂敷を徹底的に活用することにしました。

 まず風呂敷活用術なる本を入手し勉強しました。はじめって知ったのですが、風呂敷にはさまざまな活用術があり丸いものでも簡単に、しかもきれいに包めるのはビックリした。そんなこんなで風呂敷の数も増えて模様を楽しみながら使用しています。

 それと目玉は「<七十七>e定期預金」を始めました。少しでも環境にいいことにお金が良くのであれば嬉しいです。私のやっている事は、小さな事で大きな意味を持たないかもしれませんが、少しでも環境に良いことを楽しみながら無理なく進めていきます。

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地域で連携・瀬峰農場の資源循環によるエコ農業
栗原市瀬峰地区循環型農業推進会議(瀬峰農場) 【宮城県栗原市/その他】
     ◆参加人数: 30名 ◆ 活動期間:2003年3月~現在
  
【瀬峰地区全域を一つの農場として】
・栗原市瀬峰地区(旧瀬峰町一円)では、長年、耕種農家と畜産農家が、それぞれ「土づくり」や「たい肥の処理」などの課題を抱えてきた。特に、家畜糞尿処理が、全域で問題となりつつあり、兼業化や高齢化による労力不足のため、「たい肥」の発酵処理が十分でなく、品質の低下による需要の落込みが重要な課題となっていた。平成11年に「家畜排せつ物処理法」が施行され、その課題が顕著化したことにより、家畜排せつ物の適正処理に課題を抱える畜産農家と、品質の良い「たい肥」を施用して農産物の生産を望む耕種農家のリーダーたちが、差し迫った問題等を解決するため、20~30人規模で自発的に話し合いを始めた。
・平成14年には、「瀬峰認定農業者等連絡協議会」において耕種農家と畜産農家が、現状の問題点等を協議、同年9月に「耕種農家と畜産農家との対話と会議」を開催し、双方の現状と諸問題等を確認しながら、お互いが納得のいくまで意見交換を行なった。その結果、双方が有する資源の有効活用という接点を見出した。同年12月、旧町全体の農業施策総合調整機関「瀬峰町農業振興協議会」において、農業振興のスローガン「安心・安全・おいしい瀬峰農場!循環型農業のまち瀬峰」を掲げ、次の3つの実践目標を決定した。
①耕畜連携による循環型農業システムの構築ため、地域全体の推進母体「循環型農業推進会議」を設置する。その構成は、すべて現場のメンバーとする。
②循環型農業の実現のため、家畜糞尿から“肥料”という製品を製造する拠点整備を推進する。
③町をあげて資源循環型農業に取り組み、瀬峰1地区を一つの農場と見立てた「瀬峰農場」の生産物を内外へPRし、推進する。

・話し合い、そして実践目標の設定により、耕種農家と畜産農家連携による「資源循環型農業のまち瀬峰」の構築のため、平成15年3月に「瀬峰地区循環型農業推進会議」を各部門の代表者(耕種農家・畜産農家、堆肥製造拠点及び販売責任者)30名で設置した。

・地区内の現状を把握するため、各発酵段階別の「たい肥」を用いた検証と協議を幾度となく重ね、農業改良普及センター指導のもと、全畜産農家155戸の「たい肥」を腐熟度判定の「スコア法」により判定したが、耕種農家の必要とする「たい肥」には、ほど遠い厳しい結果となった。

・結果を受け、宮城県農業試験場職員を講師として耕種農家と畜産農家が、「良質たい肥」と「たい肥づくり」の知識・技術を一緒に習得した。そこでは、腐熟の度合いが異なる「たい肥」を用いた作物の生育、収量、品質等(水稲と野菜)を比較検討することで、その違いが明らかとなった。特に、野菜(ほうれんそう)を用いての食味検査では、その差が歴然としていた(第1図、第2図参照)。

・「たい肥づくり」技術の平準化と「良質たい肥」生産の意識高揚のため、大学関係者等を招き、勉強会を開催するほか、定期的に講習会等を開催し、畜産農家が作った「たい肥」の目揃い会や耕種(水稲)農家からの意見・評価を踏まえ、品質の向上と安定化を図っている。また、野菜栽培農家からの要望により、水稲中心の「たい肥づくり」から野菜栽培専用の「たい肥づくり」へと進展した。

・対話と活動が実を結び、良質たい肥製造の要となる「たい肥センター」を耕種農家と畜産農家が共に出資し、共同で誕生させた(総事業費を抑え生産コストを安価にし、利用率を向上させる)。平成16年に組合立の「藤の花有機センター大里」が完成し、平成18年には、「コンポストセンター藤沢」、「藤の花有機センター富」が完成、3ヵ所の共同堆肥舎と個人の堆肥舎(計24ヵ所)を整備した(第3図参照)。

・地域一丸となり「良質たい肥づくり」のため、耕種農家は、畜産農家に稲わらを提供し、畜産農家は、腐熟度判定の「スコア法」により、合格した「たい肥」を耕種農家に供給したことで、「たい肥の施用」が急速に拡大、地区内の全農業者が、耕畜連携による循環型農業に取り組む広域的農場「栗原市瀬峰地区循環型農業推進会議(瀬峰農場)」において、地元での資源循環による「たい肥づくりとその施用システム」の構築を実現した。
 


(第1図)








(第2図)








(第3図)


【「土づくり」から「環境保全型農業」そして「完全なる資源循環型農業」】
・「良質たい肥づくり」の生産基盤が構築できたことにより、管内の資源循環型農業の基盤も出来上がり、特別栽培農産物やエコファーマー等の環境保全型農業の普及が加速化し、地域の全農業者が、環境に配慮した「土づくり」を基本に、水稲においては、特別栽培農産物の認定を受け、野菜(ミニトマト、ピーマン、つぼみ菜)は、エコファーマーの認定を受け、地域ぐるみで環境保全型農業に取り組んでいる。近年、水稲においてもエコファーマーが増加し、平成21年3月現在の認定者数は、104名となっている。主な認定作物は、水稲、ミニトマト、ピーマン、つぼみ菜等となっている。

・特別栽培米「エコ・せみね米」などのブランド化により、取り組み農家や栽培面積が年々増加し、平成18年の栽培面積90.1haが、平成20年には372ha(取り組み農家171戸)にまで拡大した。水稲の作付全面積に占める割合は、54.7%、取り組み農家は、販売農家の47.2%、栽培面積は、この4年間で約8倍となった。

・環境保全型農業へと進展したことに伴い、家畜の飼料用作物は、化学肥料、化学合成農薬を施用せず、「良質たい肥」を施用して栽培した飼料作物を給与している。さらに、管内で水稲を栽培している全圃場から稲わらを耕種農家の協力を経て回収、稲わらを家畜の敷きわらに用い、家畜の排せつ物を稲わら及び籾殻により「たい肥化」し、圃場へ散布している。このサイクルが円滑に機能しており、自然な形での完全なる資源循環型農業が実践されている。

【温室効果ガスの排出抑制、オゾン層破壊物質である臭化メチル削減、環境保全型農法の実践】
・「良質たい肥の施用」と「土づくり」を基本とする栽培技術が普及し、従来の栽培暦に従った化学肥料、化学合成農薬を使用した栽培から、化学肥料、化学合成農薬の使用が無理なく節減できる環境にやさしい栽培方法へと転換した。具体的には、土壌診断結果に基づく施肥設計、有機質肥料の施用による化学肥料の削減、温湯種子消毒技術を用いた化学合成農薬の削減等を実施している。

・耕畜連携の普及により、管内全域の水田において稲わらの全量収集が行われ、稲わらのすき込みや稲わらの焼き払い等が無くなり、二酸化炭素やメタン等の発生が抑制されている。水稲においては、浅水代掻きの実践により河川等への濁水防止が行われている。昨年から、水田等をはじめとする営農活動地域を主に、種々の取り組みに対する環境への効果について定期的に調査を実施している。調査内容は、昆虫等、魚、留鳥、冬鳥、植物及び水質等で環境負荷低減農業が地域環境に与える影響を検証している。

【農業用廃ビニール等リサイクルの利用】
・農業用廃ビニール・廃プラスチック等をJAグループと連携し、年2回定期的に回収を行い、宮城県内の回収・再利用業者に処理を委託している。再利用にあたっては、同一業者が、農業用廃プラスチックを用いて「エコカインドリー花子(再生ポリエチレン製マルチフィルム):宮城県グリーン製品」を積極的に使用している
 
(第4図)
【消費者交流等による環境保全型農業への理解促進】
・耕種農家と畜産農家の連携や資源循環による環境保全型農産物を「エコ・せみね」と定めて、平成17年11月にロゴマークの商標登録を行い、環境にやさしい栽培法で育てた農産物に「エコ・せみね」のロゴマークを付して販売している。また、その取り組みについて、広く一般に紹介するDVDを制作し、消費者や流通業者に配付している。

・地区外の消費者を対象とした野菜圃場での「収穫体験交流ツアー」や地元の小学校・幼稚園を対象とした「ミニトマトの収穫体験」を実施するとともに、地区内外の消費者・小学生を対象に「エコ・せみね」のロゴマークを「田んぼアート」としてJR沿線の水田に描くなど、環境保全型農業の取り組みを発信し、「食と農」に対して理解する場を提供している(第4図参照)。

代表者:会長 大内一也 担当者:JA栗っこ瀬峰支店 営農課長 星 邦夫
電話0228-38-2139 FAX:0228-38-3668
住所〒989-4592 栗原市瀬峰下藤沢158番地
Email:semine@kurikko.or.jp
※送る際は@を半角にしてください
ホームページ:http://www.kurikko.or.jp

私の省エネⅡ
【仙台市泉区/個人】
 私が省エネを始めて2年が経ちました。最初は1人暮らしを始めたのを機に始めた省エネが今では普通に生活に溶け込んで板についてきました。

① 部屋の明かりを二番目の明るさにしている。
 ・一人暮らしなので薄暗くても全然問題が無い。そしてたまにロウソクでキャンドルナイトを楽しんでいます。

② 電気をこまめに消す。
 ・今では電気のつけっぱなしにする事が殆どなくなり、新たにエコタップを購入し、テレビなどの待機電力を無くす努力をしています。

③ ゴミ分別の徹底。
 ・生ゴミは一度水切りをするなど、なるべく水分が抜けた状態で捨てられる様に心がけている。そして過剰包装なものはなるべく買わないようにしてゴミを減らしています。もちろんエコバックもいつも携帯しています。

④ 車。
 ・一番のエコは地下鉄駅近くに引越しをした事を機に今まで使っていた車を手放した。いろいろ省エネはしていますが、これが一番エコかもしれません。

⑤その他。
 ・会社でもマイカップの使用に切り替えました。またこれまでお昼はコンビに弁当で済ましていましたが、コンビ二弁当はフードマイレージが高いと聞いたので手作り弁当にしています。

 地道な取り組みで自己満足と言われそうですが、無駄を無くす生活を続けていきたいです。 

代表者: 担当者:
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省エネ型の発光ボード(ピカボード)による地域の活性化
 ~発光ダイオードを用いた光のストリートアート展~
尚絅学院大学 ピカボード愛好会 【名取市、大崎市(鳴子温泉郷)/学校
     ◆参加人数:愛好会部員12名、地域の方々多数 ◆ 活動期間:2008年4月~現在
  
1.概要 
 本取り組みはピカボードという新しいサインシステムを用いて光るアート作品を制作し、名取市の商店街や鳴子温泉郷の温泉街に「光のストリートアート展」として展示することにより、省エネによる地球温暖化防止と地域の活性化を図ろうというものです。このピカボードは消費電力の少ない発光ダイオード(LED)をボードのどの位置に挿しても発光ダイオードを発光させることができる画期的なシステムで、ピカボードで使われる発光ダイオードは消費電力が非常に少なく、省エネ効果(=温暖化防止効果)の高い発光体です。

2.ピカボードの特徴 
 ピカボードは導電体を発泡スチロールでサンドイッチにしたもので、発光ダイオードをボードのどの位置に挿しても発光ダイオードを発光させることができます。使用できる発光ダイオードの色は赤、橙、黄、緑の4色で、様々なイラストや著名なキャラクターなどを光の粒で表現することができます。発明したのは当愛好会顧問の阿留多伎先生で、1998年のことでした。また、使用される発光ダイオードは玉切れがなく、耐久時間も10万時間といわれており、何度も再利用が可能です。 

3.光のストリートアート展による地域の活性化
 最初にこのピカボードが使われたのは名取のまちづくりグループ「リバイブ名取21」が1999年12月に名取市増田で行った「ちっちゃな光のアート展」で、10,000粒の発光ダイオードで作られた畳3畳大のピカボード2枚が増田公民館前に飾られました。翌年から市民参加で作成した45cm×60cmのピカボード数十枚等が追加され、名称も「光のストリートアート展」となりました。2007年には名取100選にも選ばれるなど、市民の認知度も上昇しており、今では名取の冬の風物になっています。2008年8月には、東鳴子温泉で行われたGOTENGOTENアート湯治祭にリバイブ名取21と共同で20枚のピカボードを出品し、東鳴子温泉の街並みを彩りました。2008年9月には鳴子温泉駅前商店会(睦会)と方々と共同で商店街の店頭に数十枚のピカボードを展示しました。街の活性化の一助となっています。少しずつ展示する作品数を増やし、地域の活性化に役立つと喜ばれています。 
4.尚絅学院大学ピカボード愛好会と地域との関係
 本学ピカボード愛好会は、2007年の光のストリートアート展用にピカボードを作成したメンバーが中心となって2008年4月に設立した尚絅学院大学のクラブ活動で、名取や鳴子で行われる「光のストリートアート展」の展示作品のほとんどを2008年から製作し、出展しています。 

5.ピカボードの効果
 ピカボードで使われる発光ダイオードは消費電力非常に少なく、省エネ効果(=温暖化防止効果)の高い発光体です。実際、発光ダイオードの消費電量は、豆電球だと2V×0.5A=1Wかかるものが発光ダイオードは2.1V×0.025A=0.0525Wと1/20で済むので、省エネ効果が高く、温暖化防止にもつながります。このことは、豆電球を使った場合と比べてCO
2の排出量も約1/20になることを示しています。また、学生達が地域の方々と協力してあってつくり出す光のストリートアートの光は環境にやさしく、心をいやす光として喜ばれています。作品の製作にあたってハンダ付けをする必要がないので、製作時のCO2も削減することができます。



代表者:小林 麻衣 担当者:部長 小林 麻衣、顧問 阿留多伎 眞人
電話:022-381-3364 FAX:
住所:〒981-1295 名取市ゆりが丘4-10-1
Email:arutaki@shokei.ac.jp
※送る際は@を半角にしてください
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あなたは水を守れますか・・・
~スーパー植物を活かした廃油石鹸の開発と普及~
 宮城県柴田農林高等学校 生物工学班 【柴田郡大河原町/学校】
     ◆参加人数:12名 ◆ 活動期間:2006年4月~現在
  
1.はじめに
 宮城県南部に位置する大河原町は白石川が街の中心部を流れ、その堤が全国的に有名な「一目千本桜」の観光地である。しかしその景観の一端を担い清流と称えられた白石川もいつしか川底に泥が溜まりだし、ところによって毒ガスが発生し空気までを汚染している。2000年に行われた「阿武隈川サミット」では阿武隈川、そして白石川を含む支流の改善が宣言されたが、先輩達がH.18に行った水質調査結果によれば阿武隈川河口まで水質階級Ⅲ「汚れた水」が続き、5年前と同じ水質が続いている。 

 主な原因は生活排水だが、合成洗剤使用によるところが大きい。石鹸は自然成分でできているので分解しやすいが、合成洗剤の主成分LASは石油から作られ自然界で極めて分解しにくい特徴をもつ。「つい洗浄力・使い勝手・価格の点でどうしても手がでてしまう」これが地域のアンケートでわかった実状だ。いま地球温暖化が緊急課題だが、今後これにより深刻さはさらに増すと予想される。 先輩達は半永久的に続いてしまう見過ごされがちなこの問題に地域が早く気付き、関心を持つことが、まず必要だと考え、12年前から石鹸利用を訴えたり浄化能力に富む水棲生物を校内繁殖させ川に放流したりしてきた。反面、良いとする石鹸でさえ、皮膚炎などを引き起こすと言われる防腐剤や酸化防止剤がまだ使われている。 そこで今回私達は、「re use&付加価値&広がり」をコンセプトに実際自分達が石鹸を作り普及させる研究に取り組むことにした。
 
2.PARTⅠ 宮城の宝 センダイヨシノを付加 (H18~)
経緯-その1) 宮城県唯一の品種だが激減し幻とさえ言われた桜(センダイヨシノ)を10年がかりで本校先輩が復活に成功させ、町、保護団体、個人が山や庭などに植栽構想を描きながら植えはじめている現在話題の桜である(写真1)。また、本校は全国的に有名なここ大河原町の一目千本桜を83年に渡って管理してきたこともあり桜に対する地域の信頼も厚い。

 センダイヨシノを他の桜20種類と比較したところ、抗菌作用が極めて高く、特殊な芳香成分(主成分:ベンズアルデヒド)も検出された。そこでこの桜を「防腐剤」の代用として考えた。 

 製造に当たっては桜葉に含まれる有用成分を逃がさないよう注意した。例えば、葉の粉末化。ここでは茶の製法をもとにした。また、粉末添加時期についても鹸化の温度を最大60℃に抑えながら工程最後に練りこむことで、アルカリや温度の影響を極力減らした(写真2)。

 そして春、毎年にわたって恒例のさくら祭りの会場でその「柴農さくら石鹸」を配ってきたが、反応は良くリピーターも多くなったが、反面、次のような課題も見えてきた。

(課題1)2項目では品質検査に不安。(日本石鹸洗剤工業会指摘に対して)
(課題2)桜は公的な場所に多くあり、石鹸づくりを普及させるのに支障。(学校では季節限定になりがち) 

 そこで課題解決に向け、~目新しさにはブームがあるが衰退する時期は来る。しかし、新しいものを絶えず発信していくことは意識の持続にもつながる~ ことを信じて次の素材に取り組んだ。

(写真1)






(写真2)

3.PARTⅡ スーパービタミンC植物“刺梨”を付加(H20~) 
経緯-その2) 昨年の4月、日中旅遊親善大使で近隣に在住する所有者(歌手・陶芸家 吉川団十郎氏)から「学校で研究してほしい」と依頼があり、中国貴州省原産の野生バラ「刺梨」と出会った。日本にはまだ2か所(宮城県、徳島県)というその目新しさに加え、ほかのバラにはない果実の大きさ、ビタミンCの豊富さに大変興味をひかれた。しかし研究例は中国現地果実を対象としたものでもわずかである。そこで、研究計画を次のようにたて実施した。

1)研究計画 (1)栽培適応性を見る 
         (2)石鹸用素材として加工法・添加法の研究 
         (3)品質改善と交流ネットワーク構築に向けて 

2)研究活動
(計画1)昨年、学校開発のジャムについて試食を兼ね町のイベントで紹介したところ大きな反響があった。さらに、町主催の春のさくら祭り会場でも種を蒔いて育ててきた苗を配ったところ、桜石鹸同様長蛇の列ができ大変注目される素材であることがわかった。苗配布は500人を超えた。 しかし、標高が1000mを超える原産地に日本の東北地方の気候がいくら似ているとはいえ、栽培に向くかどうかはっきりしなかったので、学校内外に条件を変えた試験区を設け、計4000株について、調査と記録をしていった。 その結果、どこも生育は旺盛でこの9月には良いところの平均草丈が60cmに達し、風通しが悪いところは病気にかかりやすかったが、バラで感染しやすい根頭癌腫病には強く、栽培しやすい植物であることがわかった。

(計画2)石鹸用素材として加工法・添加法の研究 
違った気候の日本でも本当に同じ量の成分が存在するのか?ここではそんな疑問からスタートした。ビタミンCの場合、RQフレックスを用いた正確な検査では完熟果実での時期を逃したが、日持ちが悪い果実の今後の活用性を考えて試しに凍結保存してみた。その結果10カ月後に調べたものでは約900mg/100gとなり少なかったが、それでも日本梨の300倍相当を含有した。意外なところでは葉の方にも高いビタミンCを発見した。以上から石鹸添加物として果実と葉に着目し加工法を検討してきたが、どちらも“刺”が問題で試行錯誤を繰り返したが刺を取り除くことは困難だった。

 話し合いをした結果、①乾燥、②ふるいがけの手順で微粒粉末にする方法を思いつき、葉は短時間蒸して送風乾燥させる「茶の製法」に習い、果実は「しまねの味開発指導センター公開・ビタミンC残存量を高く保持する柿葉茶の製造方法」を参考に、凍結保存果実を解凍せずにすぐ粉砕して容器に敷き並べ、温風乾燥機で12時間乾燥させる方法で行った結果、ビタミンC損失を35%に抑えることに成功した。さらに、最終の製造段階でも強いアルカリによるビタミンC破壊が心配されたが、PARTⅠ「柴農さくら石鹸」の製造工程に従い工程終わりごろに添加したところ、石鹸1個(100g)当たり11.5mg(梨1個分に相当)と同じ値が検出され、封入に成功した。このことを近くの薬局の店主で薬剤師さんに話を聞いたところ「水溶性なので美肌効果まではないが、洗ううちに中の成分が溶けだし肌の酸化防止になる。廃油石鹸でありがちな油臭さの解消にもなる」と太鼓判を押され自信がついた。このほか石鹸に添加する前のデータだが薄層クロマトグラフィーによる光合成色素抽出や官能検査で、タンニン酸、クロロフィルが確認された。これらには抗菌作用が知られており、防腐剤の代用になると考えられる。

(計画3)品質改善と交流ネットワーク構築に向けて 
 手作り石鹸が川に及ぼす影響について日本石鹸洗剤工業会が出した指摘文から、支障がないとする県まで評価はまちまちだったため、再度、手作り石鹸の意義を問い直した。そしてこの石鹸づくりは“自然の警告に耳を傾けさせる運動で、地産地消が輸送費の軽減になりそれが地球温暖化にブレーキをかけられる効果もある。さらに強力に進めよう”と結論づけた。 

 私達はさらに燃え上がり「不安定なら品質を高めよう!」と規格もつくった。そして地域のあちこちで今取り組まれているEM石鹸にも挑戦していると地域団体との交流がスムーズにできるようになり、検査を依頼されるようになった。いまは2項目増やしたpH、COD、ゾウリムシ生存実験、苛性ソーダ残留の有無の4項目について行っている。 

 また、普及条件の1つ、添加物の中国野生バラ「刺梨」については情報誌「ツーリーバラ通信」に載せ、地域に発信するとともに質問にも応える体制で進んでいる。

(写真3)





 (写真4)

4.まとめ 
 このように地域に素材の栽培と石鹸普及を同時に働き掛けるこの一連のスタイルも、3年目の今年は「柴農さくら石鹸」では計2300人のご家庭に届けることができた。「刺梨石鹸(仮称)」配布ではまだ100人足らずだが、私達が企画して行ってきた石鹸講習会など発信活動が功を奏し、授業への活用、学校行事で刺梨所有者による講演会(写真3)をはじめ、かつてない地域連携(写真4)に前進させることができた。

5.最後に 
 貴州省の人々は貧困ながら民族としてのプライドが非常に強く金銭・物資の支援よりも産業育成への要求のほうが大きい。中国では年間3000トンが生産され主にリキュールや菓子など食用に利用されているが、“石鹸”という別の視点はない。遠く離れた地よりアイディアの逆発信に努め、貧困にあえぐ人々の支援計画についても現在進行中だ。 

 今回、この取り組みの中で高齢者から私達、そして子供たちに繋ぐことの大切さを実感できた。石鹸を発見してから約5000年、永きに渡り自然と調和してきたこの石鹸を今後も地域に見直してもらえるよう発信し続け、ひいては地球環境の修復へと繋げていきたい。

代表者:3年 阿部 幸平 担当者:尾形 政幸
電話:0224-53-1049 FAX:0224-53-1050
住所:〒989-1233 宮城県柴田郡大河原町字上川原7-2
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