はじまりはテレビで偶然見かけた梅田川の天水桶でした。その時、実家の物置で眠っている大きな水瓶を庭に置いたら…という考えがひらめいたのです。早速水瓶を運んできて雨樋から水を引き、ボウフラ対策にと4匹の金魚を放しました。雨が降ると驚く程水が溜まり、雨水という天の恵みを実感したものです。庭に置かれた水瓶はなかなかに風情があり、朝夕水瓶をのぞくのが夫婦の日課になりました。
99年5月、増えすぎたホテイ草を夫がたまたま水槽に移しておいたところ、数日後なにやら動き回る物体を発見!いつの間にかホテイ草に産みつけられた金魚の卵が孵化していたのです。夫は大喜びで、熱帯魚用の水槽やパウダーのエサを購入し、観察の日々が始まりました。あまりに小さな稚魚がろ過装置に吸い込まれて大量死したり、後ろから襲い仲間を食べてしまうやからがいたり。何しろ初めてのことばかりで、たくさん生まれた稚魚の中で冬越しできたのは、大助・花子の二匹だけでした。エサはやり過ぎない事、たまったフンや汚れはポンプで吸い出す事、暑い盛りは簾で日よけをしてやる事以外は、できるだけ自然に近い状態で世話をするのが一番とわかり、昨年は孵化した稚魚が50匹冬越しできました。朝顔につるべ取られてではありませんが、年々増える金魚に瓶だけでは足りなくなり、樽、瓶に雨水を引き、雨の日は金魚も喜ぶ心楽しい日となりました。
私達が近づくとエサをねだって集まって来る金魚達は迫力満点でとても勇ましく、人も魚も自然の力でいかされているということを教えてくれます。庭の水やり用にと置いた天水桶でしたが、私達にとっては、小さな宇宙さえ感じさせてくれる大切なものとなりました。
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