◇「おいしい」は体への恵み
―なぜ紅茶に興味をもたれたのですか?
―「どこまで行っても分からないところ・あきないところ」が魅力です。知り尽くすことができないところがやっていておもしろいんです。「紅茶はおいしい」という概念に疑問を持ったのが、紅茶の世界と深く関わることになったきっかけです。
―疑問をもったのはいつ頃ですか?
―小学校2・3年の頃でした。本当においしいものは、必ず体に恵みがある。無農薬有機栽培の茶葉だけを厳選しているのも、おいしいものが体に害のあるものであってはいけないから。徹底するため残留農薬を検査しているんです。
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◇「あたりまえ」のことをする
―「こだわり」とは、辞書で「どうでもいい・(とらわれてはならない)問題を必要以上に気にする」とあります。「こだわり」とは自分の中にカラを作ること。食の中で最近「こだわり」という言葉が間違って使われていますね。こだわってはいけないと思う。基本的に僕は紅茶に対してこだわりはありません。ただ、あたりまえのことをあたりまえにした結果があるだけなのです。
「あたりまえ」のたいへんさを我々土に触っていない人間が、あたりまえにレポートする大切さを感じています。僕の役割は、農家と消費者をつなぐこと、その間に立ったメーカーであり、レポーターになることだと思っているんです。
―阿部さんのその姿勢は、徹底した品質の情報開示に現れていますね。
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―仙台で起業した理由はありますか?
―仙台生まれの紅茶メーカーを作り、仙台の誇りにしてほしいと願って。自分のまわりに誇れるものを多く残しておいた方がいいでしょう。これはあたりまえのことだと思います。
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◇不便のススメ
取材にあたり、モニター通信を見ていただきました。
―これってあたりまえの事だよね。「あたりまえの事をすること」ってとっても不便なこと。「あたりまえ」とは、じっくり・ゆっくり手間ひまかけて、細やかな心で人や物事とつき合っていくことだと思う。手間のかからないものはストレスがないのと同時に魅力もない。
―「手間のかかるところに魅力がある」とはまさにスローライフを指していますね。
―「便利なだけの暮らしの行き着く先がどこなのか」ということを考えてほしい。理想は「物の無駄はしないけど、時間の無駄をどれだけ・どのようにするか」なんだよね。
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取材をしてみて…
○ダージリンティーについて
ガネッシュのダージリンティー・・・渋み・苦味がなく、おいしい。茶葉は緑。
わたしの知ってるダージリンティー・・・渋い・苦い、苦手な味。茶葉は茶色。
ダージリンティーでもぜんぜん違う。びっくり。「緑じゃない茶葉はダージリンじゃない」そうだ。
○立地
お店は偶然ふらっと立ち寄るにはちょっと難しい、2階にある。「来たいと思う人にだけ来てほしい。」という難解なチャレンジを実にあっさり・シンプルに実現されている。取材中も「喫煙できますか?」という方に丁重にお引き取りいただくという場面に遭遇した。店内は禁煙。タバコの煙が大の苦手なわたしにはとてもうれしい。喧騒からちょっと離れて、ゆったりとおいしい紅茶を楽しめるお店。定禅寺通のけやき並木が望めるカウンター席がおすすめです。
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Report 星和佳子 |