石垣政裕(MELON理事)
 陽気に引っ張り出されたのです。コンピュータの電源を切り、こっそりと娘の自転車を引き出してきてサドルを直し、いざ地下鉄冨沢駅へ。ところが、やっぱり春の陽気(妖気か)。新笊川を上ってみようという気になってしまったのです。みなさん花見には、あまりいい天気は似合いません。「月に群雲」の日本的な、少し雲のあるぐらいがちょうどいい。次の日に響かない程度にしておくのがいいということです。
さんぽみち@
 ターミナル駅冨沢の付近は、宅地の開発が進み、次から次へとめまぐるしく道路ができあがっていきます。+数年前までは畑だったところが、あれっ、どこに迷い込んだかなと思うほどのマンション群。冨沢駅周辺も、秩序なくにぎわっています。毎朝冨沢駅まで通ってくるのですが、やっぱり、自転車は気持ちがいい。向かい側にもとても見応えのある気があったのですが、いつの間にかなくなってしばらくたちます。
さんぽみちA
 新笊川はいろんな人に聞いてもあまり人気がありません。両側をコンクリートで作られてしまったからでしょうか。そういえば、コンクリートでない河川工事はいろいろなところで「自然の回復」ということでやられているという話を聞きました。こういうのはもしかしたら、かつて工事でも請けた会社が「私財をなげうって」回復したらたいしたものなのですが・・・。あちらこちらに家族の輪が楽しそうでした。
さんぽみちB
 もう少しさかのぼると、工事中で散歩道が遮られている。惜しい。迂回するついでに多賀神社の花の具合を確かめてきました。この土手をジョギングしたり、散歩をしたりする人もいるでしょう。「工事だから仕方がない」そういう発想がどこかで変わらないといけないかも知れません。
さんぽみちC
 水鳥たちも温む水を楽しんでますか。水底に横たわる空き缶の上を、魚影が鋭くすり抜けていきます。
さんぽみちD
 そのそばに少し小振りのさくらがあります。ここから、右にカーブして286号線に向かっていきます。少し、川らしくなってきました。竹藪が右手に現れ、よもぎを摘んでいた人たちに挨拶をしていきます。
さんぽみちE
 パチンコ屋さんなどの入っている建物の裏に一列にさくらが並んでいます。少し先に行くと、中学生がベンチで寝そべっている。いいなぁ。
さんぽみちF
 この辺りに来ると鳥の声もいくつか聞こえてきます。キジやヤマバトでしょうか。会社の金網のフェンスの下を歩いていました。
さんぽみちG
 さらにさくらを求めて286号線を横切り、鈎取寺を右に見て川をさかのぼります。ここまで来ると、後戻りできない。意地になってしまうので注意しましょう。
さんぽみちH
 あとは、川沿いの道がなくなるので、住宅地内の道路を、川に沿って走っていることを確かめながら西へ上ります。西高校庭のさくらは、高校生のように若いなどとつぶやき、「意味ワカンナイシ」などと反論が来るだろうなと反省しつつ、少し上り坂を汗をかきかき走ります。
さんぽみちI
 佐保山までくると公園の下の方に、一本いい桜が見つかります。
この辺りに、ほたるを育てている小屋もあります。夏には「ほたるまつり」が開かれるのだそうです。左手に太白団地、正面に高速道路が見えてくるとこのサイクリングも終わりです。長い鎌を持ったおじさんが車を降りたので、山菜ですかと聞くと、様子を見に来たというような話しでした。ここから川は太白自然の森に入っていきます。反対側の道路は私有地になるので、ここから先はすすめません。
さんぽみちJ
 おまけ。笊川を後に、太白団地のなるべく高いところまでと、ゼイゼイ息を切らして自転車をひきあげると、実はさっきまでも、だいぶ高いところまで上ってきていることが分かりました。ここから、「一気に下界へっ!」と向かったのですが、途中左側にさくらの木が列をなして、「ちょっと待て、下りもまたいいもんだよ、楽しみながら下るんだよ」と私の人生を見透かすような人生訓の掲示を受けたのであります。
さんぽみちK
 確かにそうでした。途中一旦上山方向に上っていくと、月ヶ丘の崖っぷちになんと海まで見える桜の園があるではありませんか。これからも、「いいことあるよ」といいたげな眺望です。

もどる