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MELON会員団体訪問記第1弾
『東北森永乳業株式会社』
第1回目の企業訪問として東北森永乳業株式会社にお邪魔いたしました。
これから、工場での環境への取り組みなどについてお話をお聞きしたいと思います。

  訪問情報   東北森永乳業株式会社 仙台工場

【訪問日】
2011年1月11日(火)

【訪問先】
東北森永乳業株式会社
代表取締役専務 山下定志 様

【訪問者】
インタビュアー: 大木博文
原稿: 佐藤恵太
カメラ: 加藤桃子
MELON担当スタッフ: 廣重朋子

【概要】
商号: 東北森永乳業株式会社
本社所在地: 宮城県仙台市宮城野区港1-1-9
代表者: 代表取締役専務 山下定志
設立: 2007年(平成19年)12月1日

【製造品目(仙台工場)】
宅配ビン牛乳(森永カルダス・エースミルク・森永牛乳)、森永牛乳、鳴子高原牛乳、まきばの空、東北限定低脂肪乳、他PB牛乳各種、リプトンティー各種


その他、東北森永乳業仙台工場の情報はコチラ⇒

 仙台工場に取材でお邪魔しました。
  インタビュー

―――MELON会員になった理由をお聞かせ下さい。

 MELON会員になったのは、東北森永乳業の前身の「宮酪乳業」であったときからですが、酪農や食品に関わる業種であるため、環境とのつながりを感じており、現在もMELONの企業会員を続けています。
―――工場としての環境への取り組みはどんなことをされていますか?

 仙台工場では設立された3年前から「エコ・アクション21」(※)という事業に参加しています。
 特に水や電気、ガス、廃棄物の観点から無駄の削減を毎年一定の割合、で減らしています。
 仙台工場は、3年前に新しくできた工場で、設備も充実していますが、無駄の削減はコストカットにもつながる部分があるので、力を入れています。

 ずいぶんと広くてちょっと迷ったりも(^^;
※エコ・アクション21とは・・
 中小企業、学校、公共機関などに対して、「環境への取組を効果的・効率的に行うシステムを構築・運用・維持し、環境への目標を持ち、行動し、結果を取りまとめ、評価し、報告する」ための方法として、環境省が策定した事業者のための認証・登録制度です。

―――「水」の無駄の削減ついて、詳しく教えてください。

 工場の排水のほとんどは、機械やビンを洗浄した水です。機械・パイプの中は牛乳が付着しているため、工場内に排水処理設備を備えて、バクテリア処理を行い、きれいにしてから海へと流しています。

  

 排水処理設備も見せていただきました。
―――「廃棄物」の削減とは?

 廃棄物として多いのは紅茶などの茶ガラです。排水のバクテリア処理をした際に出る汚泥と茶ガラは処理業者に回収してもらい堆肥化されています。

 他にも、宅配で届けている牛乳ビンはリターナブルビンの使用をしています。
 ビンの性能としては、50回程度繰り返し使えるのですが、実際の回収率は95%程度のため、ビン1本につき、20回ほどしか使えていないのが現状です。

―――(工場見学をさせていただき)牛乳パック積めラインから取り除かれる牛乳パックがありますが、なぜですか?

 日付の印字のズレや内容量のわずかな違いで生産ラインからは取り除いています。
 取り除かれた牛乳パックの牛乳は排水処理されています。
 その排水よりも、牛乳の通るパイプの中を洗浄する水のほうが多く、環境としてはそちらの影響が大きくなっています。

―――牛乳の原産地はどこですか?

 宮城や東北が中心です。
 もちろん、鳴子高原牛乳などの産地限定牛乳は他の製品と区別して生産しており、仕入れルートも限定しています。



 東北森永乳業さんの製品たち。
―――最近の牛乳の消費量はどうですか?

 牛乳の消費量は減っています。
 5年ほど前に海外から多く輸入していた飼料の高騰によって生乳の値段が高騰したのが1つの原因です。
 飼料になっていたトウモロコシなどがバイオエタノールに使用されたことでの影響です。
 牛乳の消費量は現在ももとには戻っていません。

―――今後の展望を教えてください。

 水、電気、ガスの使用量や廃棄物はコストにも関わるので、それぞれの使用量等を毎月プロットしています。
 工場稼動後1,2年当初は右肩下がりで減ってきていたのですが、最近では、工場独自で削減できることはほとんど取り組んでしまったので、減少が滞ってきています。
 今後としては、茶ガラを乾燥させてから回収業者に引き渡すことを考えていますが、乾燥にもエネルギーが必要なので、そのバランスが問題になります。

 また、発電時の熱を再利用するコージェネレーションシステムの導入も検討していますが、初期コストや減価償却、ガス代の変動などのためにすぐには導入できそうにないのが現状です。
 何か良い案があればぜひ取り組んで行きたいですね。

配送トラックに運ばれてみんなに届きます。

―――最後に消費者の方々に何か一言お願いします。

 工場も社会とつながっていますから、環境対策にしても、工場内だけでできることは限られています。
 更なる対策には消費者の協力や社会全体の意識の変革が必要な面も。
 例えば、牛乳の賞味期限は10日以上あるので、現在では毎日行っている配達を数日に1回にしても品質に問題はありません。
 しかも、輸送のエネルギーやCO2も削減できます。
 しかし、消費者のもとには1日でも新しい牛乳を届けたいという思いもあるので、難しいところです。


  訪問者感想
大木:
 工場ではエネルギー面での環境対策が主かと思っていますが、食品産業ということで廃棄物の対策などを新たに知ることができて面白かったです。このような取り組みをMELONを通して、もっと一般の方に向けても知らせていければと思いました。

佐藤:
 工場での環境配慮、特に水、電気、ガスは商品のコストに直接影響があるので、工場では、「当然のこと」という感覚で取り組んでいることがわかりました。これから、もりもりと牛乳を飲んでいこうと思いました。

加藤:
 一見すると環境にかかわる職業とは言えないですが、廃水処理技術などあらゆる面で環境に配慮した取り組みがなされていることがわかりました。このような経験を通して環境に対する様々なアプローチ方法を学んだ上で、就職について考えたいと思いました。

貴重なお話どうもありがとうございました。
 東北森永乳業 仙台工場 会社情報

【沿革】
1948年(昭和23年)11月
 宮城県の酪農家が集結し、宮城県酪農農業協同組合(以下、宮城酪農)設立。
1966年(昭和41年)5月
 森永乳業株式会社と資本及び業務提携し、宮酪乳業株式会社は森永乳業と宮城酪農の合弁会社となる。
2002年(平成14年)7月
 現在の所在地(仙台新港)に森永宮酪物流センターを開設。
2007年(平成19年)9月
 仙台新港の物流センターに併設して新工場操業開始。
2007年(平成19年)12月
 森永乳業グループの秋田協同乳業株式会社と合併し、社名を東北森永乳業株式会社に改める。


【コンセプト】
・高品質化による安全・安心の実現と、環境に優しい工場
・自動化・効率化による生産性の高い工場
・将来の規模拡大の対応ができる工場


【省エネ・環境対策】
・夜間電力を活用する蓄熱システム採用
・天然ガスを使用することによる大気汚染物質の削減
・フロン等冷媒を使用しないデシカント空調機採用
・リサイクル・回収の前処理として、紙パック破砕機・プラスティック圧縮機・スカム脱水機等使用

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