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MELON会員団体訪問記第2弾
『株式会社大沼製菓』
会員企業訪問第2回目は「桃次郎のきびだんご」など美味しい和菓子をつくっている大沼製菓さんです。
店舗は石巻市にあり震災後復興のお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございました。
さっそくお話を伺いたいと思います。

  訪問情報   株式会社大沼製菓

【訪問日】
2011年7月21日(木)

【訪問先】
株式会社大沼製菓
代表取締役 大沼弘輝 様

【訪問者】
インタビュアー、原稿: 大木博文
インタビュアー、カメラ: 廣重朋子

【概要】
所在地: 宮城県石巻市桃生町給人町字東町119番地
代表者: 代表取締役 大沼弘輝
創業: 昭和20年5月
設立: 昭和51年11月1日

【主な製品】
・桃次郎のきびだんご
・やっこい饅頭
・塩豆大福
・ずんだ餅


その他、大沼製菓の情報はコチラ⇒

 大沼製菓さんの本店にお邪魔しました。
  インタビュー
〜「添加物を使わない」がコンセプト〜
―――MELONとはどのような経緯で知り合ったのでしょうか?

 大沼製菓はあるコンセプトを大事にしているのですがそれは「添加物を使わない」ことです。
 あるきっかけで添加物の体への影響について知りました。
 “食品を扱う会社が体に良くないものを使うわけにはいかない”と思い、そこから絶対に添加物を使わないと決意し、取り組み始めました。

 その時に、みやぎ生協さんにとても協力していただき、今の無添加の食品販売を実現することができました。
 その経緯があり、みやぎ生協さんと一緒に環境活動に取り組んでいるMELONを支持しています。

 代表取締役の大沼弘輝さんと。

―――添加物を使わないということで、天然素材での和菓子作りのこだわりを大事にされているそうですね。

 たくさんの人が口にする食品では安心・安全が一番大事だと考えています。
 保存料は一切使用せず、着色には天然着色料のみを使用するなどの取り組みを行っています。

 しかし添加物を除き始めた頃は、和菓子を作った翌日の取引先に渡すときに既にカビてしまっていることもありました。
 衛生管理もとても大事なことなのでその基準もクリアするように試行錯誤して今の段階になるまでは大変でした。


―――大変な時期があってもコンセプトを大事に貫いてきた姿勢がすごいですね。他にも環境への取り組みでされていることはありますか?

 和菓子は日本古来のお菓子です。そのため食材は国産や地元のものを使うようにしています。

 和菓子は米、小豆、砂糖などの原料から作られますが、米は全て国産のものを使用し、特に東北の地元農家からの米で、砂糖も100%北海道から取り寄せたビート糖を使っています。
 大沼製菓の看板商品である「桃次郎のきびだんご」のキビも東北で生産されたものなんですよ。

 一般には海外産の原料も多く出回っていますが、扱う食材はできるだけ足を運び直接見て、自分がきちんと信用のおけるものにしています。
  

 和菓子作り工場の様子。
―――地産地消で地域とのつながりも大切にしているんですね。

 ちょうど今は女川高校の生徒と連携し震災復興のための「義援金付き和菓子の開発」にも取り組んでいます。
 関東の大学生によるNPO団体Colaboさんと協力しながら、高校生の意見を取り込んだ商品を全国の学園祭で販売していく予定です。
 高校生の斬新なアイディアに驚かされることもありますが、その新鮮な発想を活かした商品を開発しています。
 〜震災によって人と人との絆を実感〜

―――東日本大震災から4か月以上が経ちますが、当時は本当に大変ではありませんでしたか?

 震災時は水道も電気も停止してしまったため、作った和菓子を24万個保存していた冷凍庫が止まってしまい取引先に渡しに行けませんでした。
 ですがそのときは食糧が足りていない避難所も多かったので、その保存していた和菓子を役立ててもらおうといくつかの市役所や避難所へ食料として届けました。
 和菓子は腹もちがいいですしね。

 その時に地元の契約農家さんからガソリンを提供いただいたり、融通してくれるガソリンスタンドがあったりと、日頃の人と人との絆や、人としての器を実感しました。
 いろんな方の協力があってできたことだと思っています。

 本当は全ての避難所を回りたかったのですが、自分たちの周りのできる範囲のことしかできませんでした。
 ですが、やれる範囲の社会貢献はするべきだと考えています。


―――和菓子を差し入れてもらえるのは本当に助かったでしょうね。

 6日間ずっと食材として和菓子を届けていたのですが、4日目に訪れたのが女川高校で、そのときの縁から今回の商品開発連携の声をかけていただいたようです。
 震災によって唯一得られたと思うのは日本人の協力する心、助け合う心を取り戻せたことですね。

 ちなみに私は震災翌日の12日から避難所を回りながら「がんばっぺ、がんばっぺ」と声をかけていたんです。
 復興スローガンの先駆けだったんですよ(笑)

 〜「だからこそやる」困難こそ成長のチャンス〜

 看板商品のきびだんご。
―――その後の復興の様子はどうですか?

 10日後くらいから水道・電気が復旧してきたのですぐに店のほうを再開しました。
 もちろん全く発注はなく採算は取れないのですが、とにかく動き出すことで周囲の店にも「大沼製菓が働いているならうちも」と前を向いて頑張る雰囲気を作りたかったんです。

 うちの製品は、池袋の宮城産直センターなど都内にも発送しているので、現在は売り上げもでていますが、秋以降が厳しいかもしれません。
 ですが今年必ず3人は新規雇用を増やして就活生支援もしたいと思っています。

―――義援金付き製品開発以外にも今注力していることはありますか?

 年末にはみやぎ生協さんと東北6県の餅比べイベントを開催しようと話しています。
 放射線の影響もあり東北地元の食材は売上も落ち込んでいるのですが、岩手も宮城も福島も加えた東北全県の米を使って各地域の餅の食べ比べなどを考えています。

―――最後に一言ありましたらお願いします。

 女川高生との新商品開発では、私たちの固定観念にはない発想が出てきて、それを実現するのは難しいんじゃないかというものもありますが、私たちが新しいことをできるようになるチャンスかもしれないので「だからこそやろう」と頑張っています。

 また他にも新たな商品開発は常に取り組んでいますが失敗も多いですし、工場の機械ではできず手作りのときもあり大変です。
 しかし量産できることもいいですが、手作りというのも付加価値だと思います。
 新しいものにチャレンジしながら、添加物なし・地元原料と合わせて魅力的なお菓子を作っていきたいと思います。

美味しい和菓子たちがお待ちしています。
  訪問者感想
大木:
 地域やみやぎ生協とのつながりを大事にしており、そのようなつながりでMELONも支えられていることを感じました。
 復興に関してもいろいろ話を伺えましたが、ぶれない主張を持ち続け地域に根付いた企業が地域を支えているという印象を受けました。

 上記のインタビュー以外にも社長の経験談やポリシーなど、面白い昔話を交えてのお話も聞かせていただき楽しい訪問でした。
 また添加物なし・地産地消に取り組んだ和菓子はとても美味しかったです(笑)

廣重:
 パワフルでアクティブな方で、ドラマティックなお話にすっかり引き込まれてしまいました。
 大沼さんのような社長がいる会社だからこそ、こんなに元気な会社なんだろうと感じました。
 地域にはひとりはいてほしい方ですね。

 「添加物を使わない」というコンセプトを、反対や苦労を押し切って信念を貫いていることに感服してしまいました。
 ありがとうございました。
 株式会社大沼製菓 会社情報

【連絡先】
 ホームページ: http://www.onuma-seika.co.jp/
 メールアドレス: info@onuma-seika.co.jp


【大沼製菓製品取扱店】
(株)セブン・ミールサービス、 (株)ヨークベニマル、 (株)セブン&アイ・ホールディングス、 (株)東北西友、 コープサンネット、 イオン(株)、 さくら野東北(株)、 (株)ウジエスーパー、 他


【大沼製菓のこだわり】
 当社は食品の安全性と品質を第一に、天然素材のおいしさを最大限引き出した和菓子作りに励んでおります。
 からだにやさしい自然の恵みをふんだんに盛り込み、保存料は一切使用せず、着色には天然着色料のみを使用。さらに品質検査基準を自社検査室にて行うなど、商品ひとつひとつに対し細心の注意を払っております。
 また、いつでも作りたての食感を堪能していただけるよう、独自の急速冷凍を採用。風味を損なうことなくご自宅へお届けすることが可能になりました。
 厳選された素材本来の味を存分にお楽しみいただくために、私たち大沼製菓はこれからも最良で上質の和菓子作りにこだわっていきます。

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