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執筆■星和佳子  2007/4/3up
「「エコ」と「スポーツ」のコラボレーション☆」
どうして「エコ」と「スポーツ」なのか?Part1
黒のMELONジャンパーが
ユニフォーム代わり
 その答えはズバリ「そこにたくさんのごみがあったから」にほかなりません。
スポーツ会場にとどまらず不特定多数の人が集うイベント会場では、ひとつ厄介な常識がまかり通っています。お弁当、わりばし、飲料カップ、レジ袋…いわゆる「使い捨て」です。多くの人が、お花見・お祭り・コンサートの会場で、異臭を放ち無法地帯と化したごみ箱の惨状を目の当たりにしていることでしょう。
 現代の社会構造は、利益・利便性・非日常空間の演出・楽しむこと、それらを優先するがあまり、会場の衛生環境のみならず最低限のモラルまでもないがしろにしてきました。「イベント=たくさんごみが出るのはあたりまえ」という構造を何とかしたくて、このコラボレーションは始まったわけです。

どうして「エコ」と「スポーツ」なのか?Part2
   もうひとつ、これまで継続してきた理由があります。それは情報発信基地としてスタジアムが最適だったからです。
 ひと昔前の環境活動はというと、はちまきをしてプラカードを持ちシュプレヒコールを唱える抗議運動を想起させました。ある特定の人・集団がする活動・運動が、今ではスローライフやロハスに代表されるようにひとつの生活様式として認知されるまでになりました。環境が今やトレンドとなり多くの関心を集めて、それに応えようとたくさんの情報が発信されています。しかし、関心の高い人は積極的に情報を得て実践し、そうでない人との格差が広がるという事態が起こりました。「そうでない人」へのアプローチは、環境団体として悩みどころでした。
 そんな状況を打破したのが、スポーツ会場での環境活動でした。環境への関心の有無に関わらず不特定多数の人が集う会場で環境活動を行うことは、「そうでない人」にも環境問題を考えてもらうきっかけをつくることを可能にしました。

ことのはじまり
ごみ袋の中から紙コップとプラコップ
を分けることからはじまりました
 「非日常空間を楽しみに来てくださるお客様に対して、ごみの分別をお願いすることはできない!!」
 「サポーターが聞く耳を持ってくれるはずがない!!」
 「客は金を払って試合を見に行くんだ。その客に対してごみの分別をさせるなんてけしからん!!」
 3年も前、内外から異論が唱えられました。仙台が環境先進都市と言われていた当時でさえ、「お客様」にごみを分別してもらうことはタブーとされる風潮が少なからずあったことは事実でした。
 それでも「スタジアムの常識」を変えることは「社会」をかえることにつながるはず、環境団体として何か役に立てることを探したい、と当団体の理事が精力的に仲間を募りプロジェクトは始動しました。その情熱は、ベガルタ仙台からはじまり、今では楽天イーグルスそして仙台89ERSまで伝わり、他県にも波及しています。
「人」が「社会」を変えていく
 この活動がここまで継続し、広がりを持つことができた大きな要因は、
1. 観客の協力が得られたこと
2. ボランティアが献身的かつ主体的に活動してくれたこと
3. 運営会社、売店業者の理解が得られたこと
でした。

 上記の「人」の協力で、目に見えて「スタジアム」が変わっていきました。
   ボランティア控え室で食べ終わったお弁当の分別が日を追うごとに細分化されていき、タンブラーを導入してほしいと運営会社に申し入れた数カ月後に販売が決定、試合開始前に完売。スタジアムの売店関係者が集う会議でレジ袋の不配協力を依頼した折は全会一致で承諾を得られた。観客が一体となって手ぬぐいを手に応援している姿を、ペットボトルのラベルをはずしながらエコステーションにかけてくるサポーターを、レフトスタンドの坂を下りながら紙コップのフタとストローを分けてくる観客を見かけたるようになった…これらはまさに「スタジアムの常識」が少しずつ変わっていく瞬間でした。
循環型スタジアムをめざして
 自然エネルギーを導入し、容器はすべてリユースにし、化石燃料に頼らずごみを一切排出しないスタジアムに・・・、と言うのは今の段階では理想論で実現は困難です。
 この活動は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から循環型社会への転換を図るためスタジアムを拠点に活動していますが、経済活動を否定するものではありません。できることをひとつずつ実現していけたらと思っています。
 今後も運営会社・行政・協力してくださるすべての方々と連携して、より理想に近い「循環型のスタジアム」をめざして「楽しみながら」チャレンジしていきたいと思います。

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