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執筆■成瀬美幸  2008/5/7up
田んぼから和を広げよう

 「毎日食べても飽きないものは?」みなさんはどんな物を思い浮かべますか。食のグローバル化が進み、世界中の料理を食べることができるようになった今でも「お米」と答える人が多いのではないでしょうか。お米は一日を元気に過ごすエネルギー源となるだけでなく、地産地消、フードマイレージを考えるきっかけにもなります。

   5月といえば田植えの季節。農家が家族や親戚を総動員し、ビニールハウスで育てた苗を何往復もしながら田んぼに運びます。おかげでゴールデンウィークに家族でどこかへ出かけた記憶はほとんどありませんが、裸足で泥の感触を確かめたり、田んぼの生き物を追いかけたり、衣替えをする頃に広がる緑の田園風景を毎年楽しみにしていたものです。あの風景がなくなるなんて想像もできませんが、日本の農家は今さまざまな問題を抱えています。高齢化、跡継ぎ問題、減反政策などの他、お米の消費量自体も年々減ってきているのです。40%に満たない食糧自給率でありながら、お米の生産量は全盛期の3分の2。休耕田が増えてきています。

 食物価格の値上がりや食の安全の問題がクローズアップされている今だからこそ、農業を見直す必要があるのではないでしょうか。古来から農に親しんできたDNAが私たちには受け継がれていて、お米には文化的重みがあります。
 1993年は冷害で深刻な米不足を招いた年でしたが、翌1994年の夏は猛暑で降水量が少なく、田んぼの水を確保することさえ難しい日々が続きました。町内に節水を呼びかける放送が毎日流され、食器にラップを巻いて使ったりと、そのただならぬ様子に「今年もお米がとれなかったらどうしよう」と子どもながらに本気で家計を心配したものです。その後雨が降った瞬間は小学校中の生徒が大喜びしたのを覚えています。
 田んぼに囲まれた通学路にも常に農作業をする大人たちの目があり、子どもの安全が問われるようなことはありませんでした。夏の夜、眠れないほどのカエルの大合唱や秋に全校でイナゴ獲りをしたことなど、田んぼにまつわる思い出がたくさんあります。 

 緑・食部会では初夏の環境市民講座として「田んぼの学校」を開催予定です。苗や周りの植物、食物連鎖の様子を観察します。是非自然に触れて、感じてみてください。田んぼはイネを育てるだけではありません。生態系保護や地下水のろ過、保水、さらには地球温暖化対策など環境問題と深くつながっています。和食、平和、和み、色んな和を田んぼで探してみませんか。

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