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執筆■廣重朋子  2009/7/3up
環境問題のウソ?
  リサイクルは意味がない。
温暖化と言うが、気温が下がっているところがある。
北極の氷が溶けても海面は上がらない。
ツバルは地盤沈下である。

 そんなことを聞いたことがありませんか?



 一昨年話題となった環境問題のウソ。
 最近は落ち着きましたが、以前はテレビや新聞などでたくさん取り上げられていましたよね。衝撃的でした。
 一般的に信じられてきた環境問題の常識を否定する、いわゆる懐疑論です。しかも、それを言っているのが大学教授、聞いた方が混乱しないわけがありません。
 私たちがしてきたことは無駄だったのではないか…
 今まで信じてきたことは間違いなのではないか…
と不安を感じるのは当然です。
 それは、これまで環境に取り組んできた方ほど強く感じるのではないでしょうか。活動している方から、質問を受けたこともありました。

 そんな時、懐疑論に対して苛立ちを感じると同時に、私自身実は不安もありました。書籍では多岐にわたる環境問題の常識が否定されています。
 
 
本当のところはどうなんだろう?

そこで、先日ストップ温暖化センターが主催する地球温暖化防止活動推進員研修で、温暖化懐疑論についての研修会を行いました。
温暖化懐疑論への反論をしている明日香壽川先生と、IPCC第4次評価報告書第1作業部会の執筆者のお一人の花輪公雄先生に、懐疑論についてお話を伺いました。
 
温暖化懐疑論には、いくつか種類があるそうです。
1.温暖化起きていないグループ:温度が低下している地域もある
2.水蒸気・太陽活動グループ:二酸化炭素よりも水蒸気や太陽活動の影響の方が大きい
3.モデルなんて信じられないグループ:気候モデルの予測など信用できない
4.二酸化炭素海面排出グループ:大気中二酸化炭素上昇に人為起源排出は関係ない
5.悟り&温暖化大歓迎グループ:エネルギー浪費は人間の性だから止められず、逆に文明を発展させる
6.すべて陰謀グループ:温暖化問題は原子力推進派やリベラル派の陰謀である
7.京都議定書意味無いグループ:目標を守っても温暖化防止には微々たる貢献にしかならない
8.もっと大事なことがあるグループ:貧困やAIDSの方が優先順位は高く、温暖化対策によって経済が破綻する

 たくさんの懐疑的理論があるものですね。ひとつひとつについての反論は省きますが、研修会の中でさまざまな疑問にお答えいただきました。

 そこでわかったことは、
懐疑論は主に全体のデータの中で、一部分のみを適用してあたかも全体を否定しているかのように論じているということ。
 
   たとえば、世界全体の中で、一部の土地では気温が下がっているところはあります。ですが、地球全体を平均的に見れば温暖化が起きているのです。
 また、海面上昇についても、衛星によって観測されたデータがあり、一部では海面が下がっているところもありますが、ツバルの周辺では海面上昇が顕著に現れているのです。
 リサイクルについても、データの元とされた団体から、あのデータは捏造であるとホームページに掲載されています。

 懐疑論、恐るべし。
 書籍は、論文ではないため著者の自由に文章が書けるのです。一般的常識を否定する、これほど注目を浴びることはありませんね。
 結果として、懐疑論が出てきたことによって、温暖化やエコに対しての関心が高まりました。
 明日香先生や国立環境研究所の江守正多先生のように、メディア等で正しいデータを元に反論をしている方もいらっしゃいます。懐疑論とその反論、両方知ることで、温暖化の知識は一段と深まります。最近では、懐疑論に対して正しいデータをもとに解説をしている反論本も出ていますので、ぜひ読んでみてください。

(例)『地球温暖化―ほぼすべての質問に答えます!』明日香 壽川 (著)
『地球温暖化の予測は「正しい」か?―不確かな未来に科学が挑む』江守 正多 (著)
『ココが知りたい地球温暖化』国立環境研究所地球環境研究センター (著)
 
  豊かな日本、宮城に住んでいる私たちにとって温暖化によって暖かくなることは歓迎かもしれません。
 ですが、貧しいために対策ができない国や、確実に温暖化に脅かされている地域があります。
 温暖化によって影響が出ることはほぼ確実なのです。
 そんなことはただの予測だから気にしない方もいるかもしれません。

 例えば天気予報で降水確率が80%だったら、どうせ雨は降らないと期待して傘を持たずに出かけますか?または、部屋に籠って外の様子に目を瞑りますか?

 それではつまらないですよね。

 傘や雨合羽、タオルを持って、雨に備えて万全の対策を打てば、思いっきり遊びに出かけられるのではないでしょうか。
 
 
 

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