1概要
●学校 仙台市立南小泉小学校
●学年 第5学年1~3組
●児童 数86名
●教科 等教科横断的な学習(理科、家庭、総合的な学習の時間、他)
●実施時期 2021年6月~2021年11月
●外部連携 シンプル&スローライフの会、せんだいE-Action実行委員会
●支援の方向性
仙台市立南小泉小学校は、エネルギー環境教育の指定を受けて実践を行ってきた学校である。今年度は、全国小学校家庭科教育研究会 全国大会(宮城)において5年生が持ち込み授業を行うということで、グリーンカーテンにも取り組みたいという相談を受けた。持ち込み授業では、6年生の家庭科の単元「すずしく快適に過ごす住まい方」を前倒しで実施予定であり、グリーンカーテンも住まい方の工夫の一つとなっている。中野栄小学校4年生とは異なり、学習プログラムを提供するのではなく、南小泉小学校5年生の学習プログラムに沿った形で支援していくことにした。
●主な支援内容
- ・出前授業1「カーテンの効果を感じよう」
※コロナ禍の緊急事態宣言のため、学校単独で実施。 - ・出前授業2「種取りをしよう」(シンプル&スローライフの会)
- ・出前授業3「グリーンカーテンを片付けよう」(シンプル&スローライフの会)
- ・プランター、土、肥料の準備
- ・グリーンカーテンの麻縄設置(シンプル&スローライフの会)
- ・ゴーヤとアサガオ、ヘチマの苗の提供(シンプル&スローライフの会)
- ・データロガーによる温度測定と結果の提供
- ・放射温度計の貸出(仙台市環境共生課)
- ・休日中の水やり
2支援の実際
●土の準備と麻縄の設置作業、苗の提供(6/22)
校舎南側の設置予定場所の地面はコンクリートのため、深めのプランターを準備してそこに培養土を入れた。プランターとコンクリートの地面の間に木材を入れて、風通しがよくなるようにした。つる性植物が巻き付くための麻縄をプランターから3階のベランダまで設置する作業をシンプル&スローライフの会の方々とともに行った。種から育てる時間がなかったので、ゴーヤとアサガオ、ヘチマの苗をシンプル&スローライフの会、ヘチマ農家の金井氏に提供してもらった。
●休日の水やり作業
コンクリート上に置いたプランターなので土の乾燥が激しく、休日の水やりは欠かせない作業となった。休日の水やり作業は、先生方に行っていただいた。
中野栄小学校と同様に、コロナ禍による緊急事態宣言下のために中止となった。南小泉小学校にも、準備していた資料やワークシートなどを渡し、放射温度計を貸し出した。学校では、
- ・グリーンカーテンの面積から測定するCO2削減量
- ・日向と日陰の地表面の温度測定
- ・グリーンカーテンの陰に立って涼しさを体感することなどを行った。結果は以下のとおりである。家庭科の単元「すずしく快適に過ごす住まい方」の一つとして取り組んできたグリーンカーテンで涼しさを体感することができた。なお、データロガーも、中野栄小学校と同様に設置して温度測定を行った。
実験のグリーンカーテンの面積 2×4=8㎡ |
南小泉小グリーンカーテンの面積 6×8=48㎡ |
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CO2の量 | 127㎏- CO2 | 762㎏- CO2 |
エアコンの台数 | 1台分 (1日1.5時間) |
6台分 (1日1.5時間) |
杉の木 | 9本分 | 54本分 |
横浜市環境科学研究所の資料を参考に作成
●「種取りをしよう」&「グリーンカーテンを片付けよう」(10/27)
ヘチマ農家の金井氏にヘチマの授業をしてもらった。乾燥させたヘチマを2人のペアに1個ずつ渡して、中から種を取り出して、数を数えさせた。全部で17,357粒あり、1個のヘチマに平均437個もあった。協力しながら根気よく数える姿に、これから行く予定の野外活動の事前活動にもなったとのことだった。
中野栄小学校と同様にヘチマの実がならなかったため、金井氏から子供たち全員にヘチマのたわしがプレゼントされた。
最後は、シンプル&スローライフの会の方々とともに子供たちも撤去作業を手伝い、すべての活動を終了した。
3振り返り
南小泉小学校5年生の場合は、学校側の学習プログラムに沿っての支援だった。コロナ禍のために出前授業が中止や延期になるなど、対応が難しかった。グリーンカーテンの活動の最後になって、ようやく直接子供たちと接することができた。全国小学校家庭科教育研究会 全国大会の授業では、「すずしく快適に過ごす住まい方」についての意見が子供たちから積極的に出され、その中にグリーンカーテンもあったとのことだった。
事後アンケートの結果を見ると、中野栄小学校と同様に楽しく活動に取り組むことができた。家庭科の単元「すずしく快適に過ごす住まい方」を夏休み前に学習したことで、涼しく過ごす住まい方の工夫の一つとしてグリーンカーテンが位置付けられた。実際に涼しさを感じられたことに加えて、CO2吸収の効果に目を向ける子供たちも見られた。引き続いて、CO2を減らす取組をしていきたいという声が多かったので、今後は、子供たちでもできるCO2削減の取組につながるような学習教材の開発に臨みたい。