1概要
●学校 仙台市立中野栄小学校
●学年 第6学年1~3組
●児童 数83名
●教科 等教科横断的な学習(国語、社会、理科、特別の教科 道徳、総合的な学習の時間)
●単元名 『夢と希望があふれる持続可能な社会をめざして〜キリバスから日本、そして世界へ〜』
●授業時数 13時間
●実施時期 2021年9月~2022年1月
●外部連携 日本キリバス協会ケンタロ・オノ氏
●支援の方向性
昨年度に引き続いて今年の6年生でも実践したいという要望が学校からあった。理科専科の先生が中心となって3クラスの本学習プログラムを進めていき、それを支援することになった。
●主な支援内容
- ・学習プログラム、ワークシートの提供
- ・出前授業「国がなくなる?キリバス共和国と地球温暖化」(ケンタロ・オノ氏)
- ・児童向けSDGsリーフレットの配布
- ・SDGsに関する資料の掲示
- ・意見文作成の際の児童への助言(MELONスタッフ、CSOラーニング生)
- ・意見交流会の際のゲストティーチャー(ケンタロ・オノ氏、小野ジョン正雄氏)
2支援の実際
●出前授業「国がなくなる?キリバス共和国と地球温暖化」(9/15)
ストップ温暖化センターみやぎが主催する「SDGs環境出前講話~キリバス編」を実施し、講師のケンタロ・オノ氏の講話を聞いた。
前半は、気候変動の話がほとんどなく、生い立ちやキリバス共和国のこと、生活の様子などの話だった。子供たちは次第に話の内容に引き込まれ、どこまでも続く青い空と海の景色に魅了されていた。後半になると、キリバスが直面している気候変動の問題や海洋ごみ、SDGsの話を聞いた。子供たちはメモを取りながらもケンタロ・オノ氏を時折じっと見つめ、最後に投げかけられたメッセージを真剣に受け止めている姿が見られた。
●SDGsの目標の選択(学校単独)
出前授業後、SDGsの17の目標の中から各自が追究していくものを課題として選択させたところ、17の目標すべてに分散した。一番多かったのは目標14「海の豊かさを守ろう」(22名)で、次は目標5「ジェンダー平等を守ろう」(15名)だった。
●意見文の支援(11/17、22)
子供たちは、総合的な学習の時間で端末のChromebookや児童向けSDGsリーフレットなどで自分が選択したSDGsの目標について調べていった。さらに、国語の学習でChromebookのアプリを使って意見文の構成を考えていった。
「意見文に悩んでいる子に助言をしてほしい。」という先生からの要請があり、CSOラーニング生とともに学校を訪問した。3クラスとも、子供たちが調べたSDGsの内容を1人1人聞いていった。17の目標すべてに対しての助言はできなかったが、持参したPCにあるデータを見せながら気候変動や海洋ごみ、食品ロス、飢餓などについて補足していった。助言以上に詳しく調べ、すでに自分の意見を持っている子供もいた。
●意見交流会でのゲスト参加(1/14)
違う目標の意見文を書いた人たち同士で集まり、選んだ目標について調べたこととそれに対する自分の意見を発表し合った。その後、クラス全体でSDGsの17の目標のつながりを話し合っていった。
キーワードを「つながり」とすることで、シンプルに考えさせることができた。一つの目標の実現(課題解決)のための行動は、他の目標の実現にもつながることに子供たちが気付く授業となった。
講評では、講師のケンタロ・オノ氏から、「みなさんはすごい!目標17のパートナーシップがすべてにつながることによく気付いた。みんなが協力すれば必ず達成できる。これからのみなさんに期待します。」という子供たちへの励ましのことばをいただいた。子供たちは自信を持ち、関心を持って調べ、行動することの大切さに気付いていった。
3振り返り
中野栄小6年生では、総合的な学習の時間で「自分づくり教育」に取り組み、子供たちに「自分の将来への夢」を持たせるようにしてきた。今回のSDGsキリバス学習は、「将来の社会に対する希望」を持たせる学習となった。両方の学習によって、個人の夢と社会への希望は相反するものでなく、重なり合うものとして捉えさせることができたのが成果といえる。今後は、子供たちが選んだSDGsの目標を調べるときの支援の方法や自分のこととして捉えさせるための手立てなどを検討していく必要がある。