1概要
●学校 あすなろ学院
●学年 小学校第4~中学校第2学年
●児童生徒数 21名
●教科等 学習塾の夏休み講座
●外部連携 あすなろ学院
●支援の方向性
あすなろ学院は、2021年度の宮城ストップ温暖化大賞を受賞した団体である。SDGs推進室を立ち上げて、SDGsとともにSDGsに関わる教育(ESD)にも熱心に取り組んでいる学習塾である。SDGs推進室長の佐々木氏から、主体的に学ぼうとする子を育成するために、興味・関心を引き出すような講座を行えないかという相談を受けた。「わくわくするようなモノづくりをさせたい。」ということで、太陽光発電システムの製作と実験の講座「太陽光発電システムを作ろう」を夏休みに行うことになった。
●主な支援内容
- ・太陽光発電システムの発注と準備
- ・USB扇風機の貸出
- ・リーフレット「DC直流ワールドへようこそ!」の提供
- ・出前授業「太陽光発電システムを作ろう」(MELONスタッフ・早川、亀崎)
2支援の実際
●太陽光発電システムの発注と準備
参加者の人数分の太陽光発電システムを発注し、準備作業を行った。ソーラーパネルの裏から出ている赤と黒の導線の先端部のビニールコーティングをニッパーで切り取って、導線をむき出しにする作業をCSOラーニング生に行ってもらった。
●出前授業「太陽光発電システムを作ろう」(7/28、大学病院前校)
はじめに、MELONスタッフがSDGsと気候変動についての話をした。Sustainable Development Report 2022 によると、日本の場合、7番のエネルギーは重要な課題、13番の気候変動は重大な課題として報告されたことを伝え、太陽光発電はそれらの解決につながることを話した。次に、元NPO・環境エネルギー研究所の職員だったMELONスタッフがオンラインで電気の話をした。電気には交流と直流の2種類があること、発電所で作られた電気は家庭に届くまで小さくなっていくこと、たとえ小さなことでもみんなが取り組めば大きな力になることなど、リーフレットを使いながら説明し、あすなろ学院の先生も頷きながら聞いていた。次に、製作に取りかかった。各自、コンバーターを組み立て、ソーラーパネルから出ている赤と黒の導線をプラスとマイナスに接続した。リーフレットを見ながら取り組んだが、組み立てを間違ったり接続が緩く外れたりするなど、時間を要した。MELONスタッフとあすなろ学院の先生が補助をしながら完成した。太陽光発電システムを外に持っていき、太陽光を当てると、全員の USB扇風機が回った。どの子もうれしそうに太陽光発電システムを持ち帰っていた。
●出前授業「太陽光発電システムを作ろう」(8/1、長町南校)
前回の反省を踏まえ、今回は、細かい部品を置く紙皿を用意し、見本のコンバーターを配るなどした結果、予定時間内に終わり、その後の実験を余裕を持って行うことができた。前回同様、全員の USB扇風機が回った。
3振り返り
学習塾と手を組んで講座を開催するのは初めてのことだった。当初、塾というと、受験のための学習で合わないのではないかと懸念したが、「持続可能な社会の創り手」の育成や教育を通してSDGsの達成を目指すという思いが合致した。環境団体と学習塾が手を取り合って講座を行うという、新たな試みに可能性を感じた講座となった。今回は、1回の講座だったが、これをきっかけとした探究学習としてのプログラムを作成していきたい。また、今後、小学校でも実施することができるように、太陽光発電システムのセットを整えたい。
●あすなろ学院・佐々木陵太氏より
MELON様と学習塾の協働は初、と聞き、大変驚きました。子供たち向けの様々な環境学習を行っていることを知っていたからです。と同時に、学習塾でのESD(持続可能な開発のための教育)の眼前にそびえる壁の一端を見たように思いました。
弊社内でもSDGsはどこか他人事、進学指導とは無関係と感じている社員が多いですし、実際に通塾している子供たちや保護者の意識もそれほどではないように感じています。学習指導要領で「生きる力」「持続可能な未来の創り手」という言葉が強調され、学校では探究学習が必修化、入試制度も企業の採用選考も変わってきています。子供たちが社会に出た後、「持続可能性」に着目した課題解決型の思考は、今よりさらに重要になっていることでしょう。公教育では提供しにくい尖りを持ち、保護者や子供たちが「行かせたい」「行きたい」と思っていただけるようなESDイベントを考える中で、MELON様にご相談差し上げた次第です。 イベントは大成功でした。県内各地からの参加者は互いに初対面。最初は気まずい沈黙でしたが、最後は参加者同士・我々も含めて垣根なく盛り上がりました。強いて言えば、興味関心が高まっている状態で、より深い学びを提供できる連続性があると尚良いと思います。 最後に、今回講師を務めてくださった早川様・亀崎様、運営にご協力いただいた小林様・吉田様にも、この場をお借りして心より御礼申し上げます。今後もMELON様・会員様の多様な知識・経験を、子供たちにお伝えいただけますと幸甚です。
(あすなろ学院SDGs推進室室長佐々木陵太氏より)