会員企業訪問第3回目は企業交流部会のメンバーでもお世話になっている株式会社伸電さんです。
太陽光発電システムの設置や、電気設備工事等を行ないながらも、新エネルギーにも積極的に取り組んでいる会社さんです。
詳しくお話を伺ってみましょう!
訪問情報
【訪問日】
2012年2月21日(火)
【訪問先】
株式会社伸電 代表取締役 佐藤 弘樹 様
【訪問者】
インタビュアー、原稿:長崎友和
インタビュアー、カメラ:廣重朋子
株式会社伸電
【概要】
代表者:代表取締役 佐藤 弘樹
設立:昭和50(1975)年4月
所在地:仙台市若林区卸町東5-2-2
事業内容:総合システムエンジニアリング。
主に企業向けの電気設備工事を行っているが、家庭用の太陽光発電システム等も受け付けている。
加盟団体:宮城県中小企業同友会、宮城県倫理法人会、仙台電気工事事業協同組合
会社ホームページ:http://e-shinden.com/
インタビュー
——MELONに入ろうと思ったきっかけは何ですか?
MELONの副理事長でみやぎ生協の理事長と私たちの会社の会長(前の社長)の奥様との間に仕事上の付き合いがあって、そこからの紹介だったんです。
MELON立ち上げのときから関わっています。
最初は名前だけ入っている形だったんですが、私が社長になってからは企業部会の方で積極的にかかわるようになりました。
——最近、「エコキュート」や「エコウィル」など、似た名前の商品が出ていますが、それぞれの違いは何なのでしょうか?
「エコキュート」も「エコウィル」もは商品名ではなく、システムの総称です。
エコキュートは電気を使って大気の熱を利用してお湯を沸かすシステムで、エコウィルは、ガスを使って電気とお湯を作るシステムです。
さらに太陽光発電を組み合わせることで、よりCO2不可の少ないシステムになります。
——震災需要はありましたか?
去年はありましたね。
震災から半年経って、それまで止まっていた設備投資が再開し始めたので、今は忙しいですが、あと1,2年すれば落ち着くと思いますよ。
〜それぞれが少しの力でも、まとまれば大きな力になる〜
——伸電さんでは、環境面でどのような取り組みをされていますか?
社内では、2001年から会社の屋根に太陽光のパネルを取り付けて、最大3.9kW(※1)の発電をしています。
また、社内の照明にはすべてLED照明を使用しています。
事務所内では、照明からひもを提げて、人の居ないところでは消すようにしています。
エアコンも省エネタイプにしています。設備のコストはかかりますが、電気代は10年前の1/3〜1/2なので、機械を変えることでもエコに貢献できますね。
あとは「見える化」です。
中小企業家同友会で、全国で約40,000社ある中小企業がそれぞれが少しの力でも、まとまれば大きな力になるということで「同友エコ」(※2)という取り組みが2009年から始まりました。
2009年度の結果では、電気は以前から太陽光発電などで努力しているため、2008年と比べてあまり変わりませんでしたが、灯油に関しては2,052リットル(CO2換算で5,108kg)の削減ができました。
現場事務所があると必要になるんですね。ガソリンや軽油の削減分も含めると、金額にして100万円くらい削減できました。
まず目的を明確にして、どのように具体的に取り組むのかを考え、自己評価してみると、削減できていることが分かることで励みになるなど、いろいろ新たな気づきがありました。
結果が表れるとますますその気になってくる、相乗効果なんですね。今でも担当が結果を毎月貼りだしています。
社外では太陽光発電設備やLED照明の販売や設置、「見える化」の提案をしています。
費用がかからずにできることは「見える化」なんですよね。 そして必ず結果が出る。
基本的に売り上げが伸びれば経費も増えるので、売上いくらあたりというような目安を設ければいいと思うんです。実際にある会社でそれをしましたが、もともと黒字体質だったので、さらに浮いたお金を社員に還元することもできました。
環境について取り組む時はどうしてもコストがかかるものですが、それが楽しいものなら継続的になれますよね。
一番やりがいがあるのは「見える化」だと思います。
手段や方法はいっぱいありますから、見えることで発想が芽生えてくるんですよね。
〜「見える化」でやりがいと仕事の効率化にも〜
——社員の方々も変化がありましたか?
仕事の効率化につながったという声が一番ですね。時間を無駄にしなくなりましたね。
エコをするのに、残業をして電気を使ってやるべきか、と考えた時に、移動時間をなどの合間の時間を有効活用したり、またそれが全てに応用できるということです。
——今後の展望はどうですか?
今、長野県の工場で、400坪の土地で商業電源を使わずに風力発電・太陽光発電・発電機(ディーゼル)・バッテリーで一軒家の電力を賄おうという、スマートグリッドより規模の小さい「マイクログリッド」の実験をしていて、実用段階に入っています。
でも今はまだそれらの電気を一括で管理する装置が開発されていません。
環境負荷が減っても経済的負荷が増えては意味がないので、それを両立できるというのが大前提にあります。
また、1番問題なのは騒音です。
4月には披露できる予定です。
(※1)太陽光発電
4kWのシステムで家庭で使う電気を約70%程度まかなえると言われています。(太陽光発電協会HPより)
(※2)同友エコ(DoYouEco)とは
中小企業家同友会全国協議会が、全国の同友会会員に呼びかけている取り組み。
環境に配慮した「環境経営」の促進と、産業構造の転換をふまえた新たな仕事づくりへの足がかりとして実施している。
CO2の排出量削減と環境経営への各社独自の取り組みを全国の会員が同友会単位でエントリーし、先進事例に学び、互いに切磋琢磨しながら挑戦していこうというもの。
<目的>
(1)地球温暖化を食い止めるため、中小企業家として自主的取り組みを推進します。
(2)持続可能な社会づくりに向けた産業構造の転換を踏まえた企業革新を強化します。
・省エネ・環境保全型企業づくり ・新たな仕事づくりと産業モデルの創造
(3)中小企業家の社会的存在意義を高め、中小企業憲章制定運動の一環として取り組みます。
訪問者感想
インタビュアー 長崎(環境サークルRENCS)
社会人の方と直接会ってお話をお聞きする機会は少ないので、今回のインタビューは環境のことだけでなく、人生の大先輩からの貴重なお話を聞くことができて本当に良かったです。
電気設備の業界で環境について取り組むことって何だろうと思っていましたが、実際行っていることは特殊なものではなく、少し応用すれば私たちも取り組むことができそうな事でした。
将来の就職の時には、このような環境への取り組みにも目を向けてみたいと思います。
カメラ 廣重(MELON事務局)
企業交流部会でもメンバーとしてお世話になっている伸電さん。
実際に会社にお邪魔してじっくりお話を伺うのは初めてでした。
企業という利益も考えながらも環境に取り組むのは中小企業にとっては簡単なことではありません。
「楽しく」と「やりがい」をとの信念があるからこそ続けていけるのですね。
そもそも黒字経営であることが必要ですが、環境の取り組みと企業経営は反するものではないことを改めて感じました。
株式会社伸電 会社情報
【沿革】
昭和50年 4月 1日 電気工事業 伸電を創業(代表者 原田 誠)
事業所 仙台市緑ヶ丘二丁目9番15号
昭和51年 7月21日 有限会社 伸電を設立(代表取締役 原田 誠)
仙台市連坊小路333番地に移設
昭和53年 6月15日 仙台市六丁目字参防田14番4号に移転
昭和53年 9月 5日 資本金を250万円に増資
昭和56年 5月 7日 株式会社 伸電に組織変更(代表取締役 原田 誠)
昭和56年10月14日 資本金を700万円に増資
昭和62年 6月13日 資本金を1200万円に増資
昭和63年11月30日 会社を仙台市卸町東五丁目2番2号に移転
平成 4年 3月26日 資本金を1800万円増資
平成 5年 4月 1日 資本金を2000万円に増資
平成 8年 8月 1日 資本金を3000万円に増資
平成10年 4月 1日 開発部門設立 生体エネルギー事業の取組み
平成19年 1月29日 ISO9001取得
平成19年 8月28日 代表取締役 佐藤 弘樹 就任