東日本大震災から10年—MELON会員のみなさまへ

MELON理事長 長谷川 公一

 毎年3月11日が近づくと厳粛な気持ちになります。 

 今年はとくにちょうど10年の3月11日です。

 しかも2月13日夜11時頃の大きな地震は、あたかも10年前を忘れるな、風化なぞ許さないぞ、という「天の声」のような強い揺れでした。

 発災直後ランドセルを学校に残し、内履きのズック靴のまま帰宅した小学5年生の息子は既に大学生です。当時の大学4年生は32歳前後。中堅・若手としてそれぞれ活躍しています。生まれたばかりの赤ん坊は小学4・5年生。10年は個々人にとって、これだけの重みのある時間です。ましてや家族や親族、友人を亡くされた方々、家を失って長期の避難生活を余儀なくされた方々にとっては、この10年はどんなにか重苦しい、長い時間だったことでしょう。

 あたかも「戦場」のような、「焦土」のような被災現地をまのあたりにして、その衝撃の中で、連日のように続く余震の中で、多くの人々が、今度こそ日本社会の再生だ、地域社会の本当の再生だと、夢見たのではなかったでしょうか。

 犠牲の大きさに比して、被災者・避難者が、地域社会が得たものは何だったのか、と反芻せざるを得ません。私達、みやぎ・環境とくらし・ネットワーク(MELON)も、もっともっと被災地のために貢献すべきこと、提言すべきことがあったのではないか、とも反省させられます。

 被災地の〈持続可能な未来〉のゆくえは、まだまだ不透明です。コロナ禍の出口もまだ不透明です。マスク越しにしか言葉を交わせない、オンライン画面上でしか会いがたいがゆえの焦燥感は否定できません。例年になく積雪の多いこの冬でしたが、雪割草や節分草が咲き出しました。春は確実に近づいています。

 震災直後のそれぞれの決意を思い起こし、地域のために、私達の足元のために、自分たちに何ができるのか、あらためて思いを巡らす、この3月11日にいたしましょう。