東京電力福島第一原子力発電所で生じている放射能汚染処理水について、菅内閣は海洋放出を閣議決定しました。この決定に際しては、多くの市民・団体から抗議や懸念が表明されていますが、MELONでも理事会等で議論し、宮城県知事あてに声明文を提出しています。以下に全文を記載します。
宮城県知事 村井嘉浩 殿
福島第一原発・汚染処理水の海洋放出に関わる声明文
2021年6月11日
公益財団法人 みやぎ・環境とくらし・ネットワーク
理事長 長谷川公一
2021年4月13日に、菅内閣は、東京電力福島第一原発で生じている放射能処理水の処分をめぐり、「海洋放出」を閣議決定しました。すぐさま、その決定に対して漁業組合など多くの団体から反対する抗議や懸念が表明されています。当法人も、宮城での暮らしを起点として、地域環境から地球環境の保全に関する活動や意識啓発・情報発信を精力的に取り組んでいる団体でもあり、汚染処理水の海洋放出については、その環境や人体への影響を強く懸念しているところです。
多くの団体から、「放射性物質の残留量や総量が不明」「処理水の海洋放出による環境影響に関する科学情報の不足)」、「民主的な合意形成がなされていない」などについて、意見が表明されています。宮城県としても、政府に、「海洋放出以外の処分方法の継続検討」や「処理水について正確で分かりやすい情報の発信と国内外への理解醸成」などを要望する、多核種除去設備等処理水の海洋放出決定に対する緊急要望書(2021年4月13日)を提出されました。また、周辺自治体でも懸念される風評被害への対策などを求めた要請書(2021年4月20日)を東京電力ホールディングス(以下、東京電力)に手渡したり、関係団体の意見を集約する連携会議(第1回 2021年5月11日)を開催し、会議録画を公開するなど、宮城県民の生活や仕事に対する不安解消に務められていることに期待をしているところです。
そこで、当法人としては、以下の四点を指摘し、環境と暮らしへの影響について、さらなるその安全の確認と不安解消に向けた、知事による各関係機関への対応を強く求めます。
1)処理水の放流を回避できる方法について、東京電力ほか関係機関が検討し尽くしたのかどうか、の確認と、その検討の過程がわかる資料の公開を求めます。
2)処理水の取扱いに関する国・地方自治体・東京電力などが関わる会議の全てを動画記録し、公開することを求めます。
3)処理水の取り扱いに関する意思決定に対する責任の所在を明らかにして、将来世代に負担を課さない体制を整えることを求めます。
4)仮に計画通りに処理水が放出されるにしても、処理水の取り扱いに関する東京電力の行動とその結果としての環境変化を第三者的に監視する体制を整えることを求めます。
【事務局 山形】