地球の表面には大気が取り巻いています。大気の成分の中には地球を真綿で包むような保温効果を持つものがあり,地球の平均気温は約14度に保たれています。この保温効果を持つ気体が存在するおかげで、私たちは地球で快適に暮らすことができます。このような気体は温室効果ガスと呼ばれ,代表的なガスに二酸化炭素があります。
19世紀以降、産業の発展に伴い人類は電気やエネルギーを作るために大量の石炭や石油を消費するようになりました。石炭や石油を燃やす際に、二酸化炭素が出ます。大気中の二酸化炭素の量は200年前と比べて30%ほど増加し、1880~2012年において、世界平均地上気温は0.85℃上昇しました。
このまま世界中の人々が何も対策をとらなければ、21世紀末には地球の平均気温は最大で4.8度上昇すると予測されています。
世界のある地域では洪水の多発が心配され,違う地域では渇水や干ばつの危険が増大します。また,海面が上昇すれば,サンゴ礁からできた島々や海抜の低い地域では国土が水没するなど大きな被害が出ます。
日本でも,マラリヤ感染や病害虫の危険性が増し,都市部ではヒートアイランド現象に拍車がかかります。海岸部では砂浜が減少し,高波や津波による危険地域が著しく増大します。
また,主食である米や小麦の生産,漁業などに大きな影響が出るため,とりわけ自給率の低い日本にとっては大きな打撃となります。
温暖化による影響を避けるために,気温上昇を2℃以内(生態系では1~2℃以内)に抑えることが必要だといわれています。IPCC第5次報告書によれば,この気温上昇を抑えるためには,2010年比で2050年には世界全体で温室効果ガス排出量を40~70%削減し,2100年にはゼロまたはマイナスの排出量にする必要があると報告されています。
2010年に行われたCOP16で先進国と発展途上国それぞれの温室効果ガス削減の目標や行動について合意し(カンクン合意),2013年のCOP19では2020年以降のすべての国が参加する新たな国際枠組みを2015年の年末にパリで開催されるCOP21で合意することを確認し,自主的に削減目標を提出することになりました。
2013年10月に日本政府は2020年までに基準年(2005年)より3.8%削減すると表明し,今後エネルギー政策などを踏まえ確定的な目標を設定するとしています。
温室効果ガスの排出は,大半が産業活動に起因しています。なかでも二酸化炭素の排出はエネルギー需要に大きく依存するため,省エネ技術の開発・導入やエネルギー転換などが積極的に進められています。同時に私たち一人一人のライフスタイルを変えて行くことも不可欠です。
必要でないものは買わず,ものを大切に使う,省エネや環境にやさしい商品を買う,できるだけ電車・バスを利用する,資源の再利用やリサイクルを推進するなど私たち一人一人のライフスタイルを変えて行くことが温暖化防止対策になります。