公益財団法人 みやぎ・環境とくらし・ネットワーク

私たちは、緑と水と食をとおして暮らしを考え、地球と地球環境の保全に寄与するために、多くの市民、知識人、協同組合、企業、団体で作られた環境NGOです。

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9月のテーマ「おいしい水ときれいな水」
日時 2006年9月22日(金)18:00〜20:00
場所 フォレスト仙台5F 501会議室
話題提供 MELON
Report/RNECS丸山浩司
 9月のテーマは「水」。今回はいろいろな立場の社会人、学生が来てくれて、水問題に対する関心の高さを感じることができました。 
 「水問題」というと少し固い話になりそうですが、ここはいったん肩の力を抜いて、参加者のみなさんに「利き水」に挑戦してもらいました。用意したのはミネラルウォーターや市内各地から持ってきてもらった水道水など9種類。この9種類の水を飲み比べて、「おいしい水」と「おいしくない水」を選んでもらいました。
 その結果は・・・
 
「どれがおいしい?」「……わからない……」
 「おいしくない水」は同じものを選ぶ人が多かったのですが、「おいしい水」にはばらつきが見られました。「おいしい」と感覚には個人差があるようです。飲み比べた水の正体を明かしたところで、それでは一体「おいしい水」とはどんな水なのか?ということをお話しました。
「おいしい水」の条件は3つあります。
1)冷たい
2)ミネラルがある程度含まれている
3)二酸化炭素がある程度溶けている

 まず冷たいということが第一条件。冷たい水ならある程度おいしく感じるといいます。10℃〜15℃がちょうどいい温度だそうですよ。次のミネラルというのは、水に溶けているカルシウムやマグネシウムのことです。ミネラルの少ない水を軟水、多い水を硬水といいます。ミネラルが溶けている水はおいしく感じるのですが、多すぎると逆にまずく感じるようです。今回ほとんどの人が選んだ「おいしくない水」も、ミネラル分の多い硬水でした。最後の二酸化炭素というのは意外ですが、その溶け具合も「おいしい」ということに関連しているそうです。こちらも適量があって、たくさん溶け込むと炭酸水になって刺激が強くなってしまいます。
 利き水を終え、今度は「世界から見た水資源」という観点から話をしました。私たちが何気なく使っている水ですが、他の国々にとって水とはどんなものなのでしょうか?クラブフォレストで話したことを共有してもらうために、内容を少し詳しくお伝えします。

 「水の惑星」と言われる地球ですが、
地球上の水のほとんどは海水で、淡水はたったの2.5%しかないといいます。しかもその淡水も7割近くが氷の状態だそうです。そうすると、人間が使える水は地球にあるすべての水の1%にも満たないことになります。宇宙から見ると真っ青な地球なのに、私たちが使える水はほんのわずかだと分かります。そう考えると水資源の大切さを実感できるような気がします。
 話題提供をしつつ、途中でクイズを出題。
 その貴重な水資源を私たちはどのように使っているのでしょうか?用途を大きく農業用水、工業用水、生活用水に分けると、
農業用水・・・約69%
工業用水・・・約21%
生活用水・・・約10%
となるそうです。
 生活で使っている水は1割程度ですが、だからといって生活用水が十分に足りているという訳ではありません。特に水資源を地下水に依存している地域では、地下水が溜まるより速いペースで水を使っていることがほとんどで、水不足が問題となっています。リビアやエジプトなどアフリカ北部やアメリカでの問題が深刻だといいます。
 水資源の過剰使用の例として、カザフスタンのアラル海の例があげられます。アラル海では、かんがいで大量の水が使われたため、湖の面積はかつての半分になり、生態系も崩れ、4万トンあった漁獲高がどんどん減り、今ではアラル海は魚のすめない死の海となってしまったそうです。さらに、この地域の乳幼児の死亡率は世界一だといいます。これは、水資源の枯渇による被害のもっとも顕著な例なのではないかと思います。
 問題は水不足だけではありません。もうひとつ大きな問題として、「水質汚濁」があります。工場廃水に含まれる重金属(鉛.カドミウム.水銀など)は環境を汚染するだけでなく、健康にも大きな影響を与えます。日本ではこれらの重金属がそのまま排水されることはありませんが、施設が不十分で汚染物質が排水されてしまっている国もあります。汚染物質には、重金属のほかに化学物質があります。これは化学工業により作られた物質で、その種類は数千にもなり、その安全性は未だに未知数な部分が多く残っています。化学物質の怖いところは、水に溶けていても見た目やにおいではまったく分からないので、使っている水に化学物質が溶けていても気づかないということです。
 そして、工場廃水以外にも、単に水源が不衛生だということが問題になっている地域もあります。これは途上国によくある問題で、川や湖から直接汲んだ水を使うために、水を媒介に家畜の糞尿からの病原性微生物に感染してしまうのです。
途上国の死者のうち、80%は水が原因なのではないかといわれています。

 このように、世界で起きている水問題について話していると、改めて水資源の大切さや水問題の深刻さが分かってきます。参加者の方からも、身の回りの生活用品に使われている石油製品や化学物質の話や、水問題から話を広げて、どうすれば周りの人たちが環境問題のことを考えるようになるのかということといった話までしていただけました。
 さまざまな人たちと、問題を共有しつつ、それぞれの意見交換もできる、そんな正にクラブフォレストらしい時間を過ごせました。