仙臺農塾
仙臺農塾プロジェクトVol.1 第6回
「美味しいものには訳がある~震災は私を変えた~」
日時 | 2013年4月17日(水)19:00~20:30 |
会場 | 旬彩こころ(青葉区国分町2丁目9-16クレーネ日泉ビル1F) |
ゲスト | 高橋英雄さん(練り製品メーカー 高橋徳治商店) |
参加費 | 3,500円 |
参加 | 27名 |
仙臺農塾の目的のひとつ、震災復興。 沿岸地域の食の現場がどのような被害を受けたのか、何を想い、どのように復興に向けて取り組まれているのか、それを知り私たちは何をするのか、考える必要があります。
ゲストは高橋徳治商店の高橋英雄さん。
石巻で明治38年より創業していた老舗の練り製品メーカーです。保存料や着色料・人工甘味料の入った練り物が一般的なのに対し、無添加の練り物づくりにこだわってきました。
無添加の練り製品を作るきっかけになったのが、学校給食に製品を出すことになったこと。
学校給食向けの商品を考えていた時に、さいたま市の学校給食の栄養士さんに「添加物」について教えてもらう機会があったそうです。
添加物の体への影響を知った高橋さん。
添加物を除いたもの作りたいが、同時に食べ残さないおいしいものを作らなければならなりません。
しかし、野菜嫌いな子どもたちも多く、給食を残してしまうような状況。
そこで、高橋さんは決意します。野菜が入った無添加の揚げかまぼこを作ろう、と。
しかし、それまで高橋徳治商店で作っていたのは添加物がたっぷりと入ったものでした。
最初は単純に添加物を外して作ってみた。塩と砂糖だけで味を付けた。おいしくなかった。
どうしたらいいか?
そして気づいたのが「素材を生かす」ということ。
30年前に挑戦し始めて、それに気づいたのが20年前。
素材とは何か?
魚はいろいろあるし、味も弾力も違う。季節でも違う。エサによっても違う。
野菜も同じ。どこのゴボウか?国産か?
豆腐も一番今いい温度を見極めなければならない。2種類3種類の大豆を使う。豆腐屋がこだわりだし、熱くなってくる。それに我々も答える。
すべての食材がどこでとれたものなのか、すべてにこだわる。
そこまで計算して、毎日毎日追求し続けたそうです。
震災後には、自分の身や会社、周囲に起こった事のディテールを丁寧に観察し、気づき、見つけた問いについて考え抜こうとする高橋さんの姿勢が伝わってきました。
そこで生まれた信念は頑固と言えるほど強固です。
高橋さんのお話には、現場に入り、五感・第六感で感じることの大切さ、ありきたりな言葉で片付けてしまわず、驚きや気付きを記憶に留め、考え続けること、思い続けること、そして自分なりに答えを出していくことの必要性を感じさせられます。
震災を体験しからこそ心から実感したこと。それは、
「食べもの」=「命をつなぐもの」 だということ。
エサではない。
食べ物はお金ではない。
その時売れればいいというものではない。
食べ物は命。
私たちが決して忘れてはいけない、手を抜いてはいけないことだと心に突き付けられた気がします。
料理を食べる手も止まってしまうほど、高橋さんのお話しに聞き入ってしまいました。
お豆腐あげのあんかけ。国産原料の大豆を使用した豆腐と国産のタラのすり身を使った揚げかまぼことのこと。もちろん無添加!!
中までしっかりと詰まっている、一番シンプルで味の違いが分かるお豆腐あげでした。
あんかけがまた美味!
お好み揚げ。
魚のすり身の揚げ物が苦手な子供たちも、おいしく食べれちゃうお好み焼き風の揚げかまぼこ。
これまた国産野菜たっぷりのボリューム満点のさつま揚げでした。