仙臺農塾
仙臺農塾プロジェクトVol.2 第1回
「麹と共に250年~老舗の味噌・醤油づくり~」
日時 | 2013年10月9日(水)19:00~21:00 |
会場 | 旬彩こころ(青葉区国分町2-9-16クレーネ日泉ビル1階) |
ゲスト | 鎌田雅敬さん(鎌田醤油株式会社) |
参加費 | 3,800円 |
参加 | 23名 |
近頃、塩麹ブームにより麹や発酵に親しむ人が増え、発酵の世界の奥深さに魅了されている方も多いのではないでしょうか?
醸造業を始めて250年以上になる老舗、鎌田醤油株式会社の鎌田雅敬さんから、
「微生物はどのような可能性を秘めているのか」
「生き物である微生物と付き合っていく発酵の仕事とはどういうものなのか」
など発酵の世界についてお話をうかがいました。
宮城には30軒以上もの醸造店があることご存じでしたか?
その中で、鎌田醤油さんは、宮城県産の大豆と小麦で、昔ながらの製法で醤油や味噌を作っている貴重な蔵元です。
醸造はしていても、原料から作っているところは実はわずかなのだそうです。
でも、それを「こだわっているわけではなく、あたりまえに真面目に作っているだけ」との鎌田さんの深い言葉。
代々、職人技が受け継がれているからこそ、それがあたりまえなのでしょうね。
これが味噌の原料。
右から大豆、小麦、細かくした原料、4ヶ月もの味噌、1年もの、1年8ヶ月ものです。
原料はシロメの大豆。
大豆にもチャメとシロメがあるそうです。芽となる胚芽の部分が茶色いか白いかの違いです。
通常市販されている味噌は1年も寝かせずに並んでいるものが多いのに、鎌田醤油では、1年半や2年自然のままにじっくり熟成させてから出荷しているそうです。
これも鎌田醤油にとっては「あたりまえ」なのでしょうね。だから深い味わいで美味しい!
その他にも「発酵と腐敗の違いは何だと思う?」「発酵みそと発酵していない味噌があるが違いは何だろう?」など質問を投げかけながら、分かりやすいお話をいただきました。
「発酵」と「腐敗」の違い。仕組みとしては、食べ物を微生物が分解して状態が変わることなので同じです。違いはありません。
でも発酵は良い印象、腐敗は悪い印象がありますよね。
つまり、「人にとって良いもの、役に立つ、食べれる」=「発酵」
「人にとって良くないもの、食べられなくなる」=「腐敗」と呼んでいるに過ぎないのです。
そのため、納豆が好きな人には「発酵」ですが、嫌いな人からすれば「腐敗」になるわけです。
「発酵している味噌」と「発酵していない味噌」
店頭に並んでいる味噌、麹菌が生きて発酵していればどんどん発酵が進みますよね。「生味噌」と表示されるのがそれにあたります。
一方アルコールが添加されたり、加熱処理をすると発酵が止まり、発酵していない味噌になります。常温で店頭に並んでいる味噌のほとんどが発酵していない味噌ですね。
他にも、微生物のお話も聞かせていただきました。
土の中だけでなく、私たちの周りには、たくさんの何万と数えきれないほどの微生物に囲まれて暮らしています。
もろみ1gにも1000万個もいるそうです!
そして面白いことに、蔵によっている微生物は違っていて、だから蔵によって味が異なってくるのだそう。(実はご家庭でも同じだそうです。家庭によって部屋によっている菌は違うそうですよ。)
原料の違いもありますが、蔵や地域によって微生物が違うため、昔から続く発酵食品の醤油は地域の個性とも言えるとのことでした。
日本の「国菌」は「麹菌」というのも納得。
それだけ、私たちの暮らしの根深い所に、麹や菌がいるのですね。
鎌田さんの軽快で深い内容のお話に、参加者もすっかり魅了されてしまいました。
講座が終わった後にも鎌田さんを囲んでトークが盛り上がる!
一緒に記念撮影もしてもらいました。
今回から講座の時間を90分から120分に拡大することにしましたが、その分やはりゲストのお話をじっくり聞くことができ、学びの多い講座となりました。