仙臺農塾
仙臺農塾プロジェクトVol.3 第7回
「酪農ママの挑戦~西洋野菜を古川から~」
日時 | 2015年3月25日(水)19:00~21:00 |
会場 | 地酒地料理 太左ェ門(青葉区国分町2-15-2グランパレビル1階) |
ゲスト | 門傳仁さん(もんでん農場) |
参加費 | 4,000円 |
参加 | 24名 |
栗原市一迫で、長年有機農業によるコメづくりをされている門傳さん。
広く深い視野で稲作暮らしを営む門傳さんから、有機ってなんぞや?お米をめぐる状況など、米作りのこだわりや思いを伺います。
今回のゲスト、門傳仁(まさし)さん。
子どもが小学校からが帰ってきても、自分は家でぐだぐだしていたことから聞かれたそうです。
「お父さんは何のために生きてるの?」と。
その時すかさず、
「お父さんは地球の平和を守るために生きてるんだよ」
と言ったところ、すごく尊敬されたとのこと。そのとき自分の使命が分かったそうです。
そんな出だしでお話しが始まった門傳さん。
一気に私たちの心を鷲掴みにし、お話に引き込まれました。
有機稲作を始めたきっかけは、農薬をかけたあと、自分自身がとても具合が悪くなったこと。
当時の農業では有機リン系の強い農薬も使われていたそうです。
その頃から、「減農薬」や「特別栽培」という取り組みも始まってきて、徐々に農薬を使う量を減らしたり、使う農薬を厳選したりするように。
減らしていくと田んぼが変わっていったそうです。
無農薬を始めたころは、田んぼの生きものがたくさんいて、タイコウチなども良く見ることができたとのこと。
しかし、総量として減っていると感じていて、ネオニコチノイド系農薬の影響も考えているそうです。
さて、有機とは何か?
それは、法的な国際的規格です。
第2条第1項「農業の自然循環機能の維持促進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り提言した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること。」など細かい規定が定められています。
もともとは、WTOが作った世界標準の規格で、貿易を盛んにさせるために作ったとも言えます。
違反すると罰金刑と実刑があることにも、一般市民には驚きです。
訴求できることが原則で、毎年認定団体の検査員が農場を訪れて肥料など使ったものや出荷量などをすべてチェックし認定しています。
「有機栽培」という表記と「有機JASマーク」は常にセットで使うものであって、どちらかだけのものは怪しいと思っても良いとのこと。農家でも知らずに使っている人も…。
また、農薬を全く使っていないわけではなく、指定された農薬以外を使ってはいけないというものです。
また周辺の田畑からの飛来や流入もしない区域と決められていて、門傳さんの田んぼも中央の一部は有機ですが、川や緩衝地帯を挟んだ周りは有機ではありません。自分で管理できる場所に囲まれている田んぼでなければならないそうです。
今、農業の現状として、お米を作っても稼げないということがあります。
でもむしろ、昔のように稼ぐために一生懸命になるのではなく、自然環境のことを考えるようになったそうです。「でも、その方が面白い。」と門傳さんは笑顔で語ります。
そう思える門傳さんの懐の深さに脱帽です。
有機米の収量は、特別栽培に比べると有機栽培は1~2割落ちるそうですが、ほとんど変わらないと言います。
人によっては同程度取っている人もいて、何かあった時に有機の方が根が強いような気がする、と。また、有機栽培で栽培すると品種の特徴がよく出ると思うとも言っていました。
門傳さんの育てたお米でお酒も造られています。今は他の酒蔵に製造をお願いしているそうです。
「門傳」「坤輿」(ひとめぼれとササニシキ)「ほでなす」の4種類。
坤輿というお酒のラベルには、坤輿万国全図というものがプリントされています。そちらのお話しも聞かせていただきました。
会場の太左ェ門さんが、今回門傳さんのお米をさまざまな料理で提供してくれました。
最初に「台盛 門傅さんちの塩おむすび、海苔の佃煮と大葉を添えて」うっすらと塩のついたおにぎりがとっても美味しかった…!!
「鍋物 三浦さんちの芹鴨鍋。」鴨とセリが絶妙。三浦さんのセリは根もしゃきしゃきでおいしい!
この鍋の出汁汁に「炒り米」を入れていました。これは白米を炒ったもの。鍋の中に香ばしさがプラスされて、深い味わいになっていました。
「強肴 イカメシ」このお米も門傳さんのお米です。
最後には雑炊をいただき、他にもいくつも料理が出てきて、大満足でした。
講座が終わった後も門傳さんを囲んで話は尽きず。
終わってからのお話の方が深い話を聞けたりして…。
門傳さんのお話はとても分かりやすく面白く、いろんな発見を得た講座になりました。