公益財団法人 みやぎ・環境とくらし・ネットワーク

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エコシティ【旧サイトの内容です】

VPRESS BackNamber●8、PETのリサイクル

 こんにちは、MELONです! 今日もまたペットの話をしましょう。もうPETって何かわかりましたね?プラスチックのことです。PETボトルというと、飲料や醤油、サラダ油などが入った容器です。このPETボトル、レジ袋のプラスチックとは仲間といってもちょっと遠い仲間なのです。レジ袋はポリエチレンやポリプロピレンというプラスチックなんですが、何が違うのでしょうか。今日はそんなお話とリサイクルの現状についてお伝えします。

 PETボトルが開発された経緯にはガラスという重くて割れやすいボトルを何とか他のものに変えられないかという視点がありました。高度経済成長の中で輸送コストを抑制し、ガラスに代わり壊れにくい素材ということへの追究でした。プラスチックはガラスよりも軽い反面、むしろガラスよりも酸素を透過して味を悪くさせたり(ポリエチレンなど)プラスチック合成時の不純物が入ったり(塩ビ)、あるいは透明性がなく(一般のプラスチック)あるいはガラスよりもむしろ壊れやすくなってしまったものしかなかったのですが、それまでポリエステル繊維に使っていたものを成型する技術が完成し、ついに1983年実用化しました。ほんの20年ちょっと前のことです。当時の炭酸飲料用ボトルは丸底でしたので、袴をはいた状態でしたし、栓にはアルミが使われ、一部のPETボトルは有色でした。いずれもリサイクルには適さないので、その後改良と見直しが進み現在のように、本体がPETボトル、栓はポリプロピレンという基本的な姿になりました。回収されたPETボトルが破砕されリサイクル過程に進みやすくなったわけです。

 2004年に生産されたPETボトルは、約55万トン。このうち約51万トン(93.5%)が指定PET(清涼飲料、しょうゆ、酒類、乳飲料)です。2004年度の指定PETの収集量は約32万トン、回収率は62.3%です。世界的に見ると回収しているところはまだまだ少なく、ヨーロッパを中心に44カ国が実施しているに過ぎません。その内訳はマテリアルリサイクルが31カ国、リユース(リターナブルボトル)が20カ国、飲料ボトル5カ国ですが、圧倒的にマテリアルリサイクルが多くて、リユースは数%に過ぎないのが現状です。これは食品衛生法の観点から傷ついたPETボトルをもう1回使うというのが難しいからです。

 では、マテリアルリサイクルって何でしょうね。

 回収したPETボトルは軽いポリプロピレンなどや不純物と分離・選別、洗浄され、フレーク(8mm角(カク)位の小片に粉砕し、よく洗って乾かしたもの。作業服、卵パックや成形品の原料として使用される。フレークは薄片という意味)や、ペレット(フレークを一度溶かして小さな粒状に加工したもの。運搬・貯蔵が容易になり、主に繊維にする時に使われる。繊維等に加工するときの取り扱いが容易になる。ペレットは小さな弾丸(丸薬)という意味)になり、繊維、シート、ボトル(より品位の低い台所洗剤ボトルなど)、成型品、バンドという製品になっていきます。

 PETボトルのほとんどはこうしたマテリアルリサイクルで他の製品になっていくのですが、最近はケミカルリサイクルと言って、PETボトルの原料に戻し、またPETボトルを生み出すという、本当の意味のリサイクル(2回以上リサイクルされる)も始まっています。PETボトルの中でも品質がよくなさそうなのは、サーマルリサイクルといって燃料に変わる場合もあります。また、上記の回収率に入らないPETボトルはその他プラスチックくずとして輸出されたり、焼却・埋め立てにまわっています。

 できるだけ回収率を上げて、できるだけケミカルリサイクルにして、PETボトル→PETボトルという完全なリサイクルシステムを構築したいと思っています。政府の目標は2010年に回収率80%ということですが、回収率も大切ですが、より重要なことは、むしろ使わない、ということこそ大切です。石油という限られた資源を使って合成されているPETボトルは石油の枯渇と共に消えさえる運命なのですから、reduce=使用量を減らす、ことが、本当に重要なのです。

 そのためには分別に出す前に、もう1回使えないかな? とか、そのPETボトル入り食料品を買う前に、何とかPETボトルを使わない術はないかな? なんて、考えてみてください。

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